3年連続減の1441億円 和市22年度予算案

和歌山市は10日、2022年度当初予算案を発表した。一般会計は5億5889万円減の1441億542万円。前年度比0・4%減で3年連続の減少となった。多額の支出を伴う新型コロナウイルスの対策は継続。その一方で、個人と法人を対象にした市民税は、新型コロナが下火となる可能性や、本年度の下落が予想より低かった点などを考慮して増えると判断。河川改修などの大型事業を本年度補正予算案に組み込めたこともあって、当初予算はほぼ昨年度並みで落ち着いた。

任期満了に伴う市長選を今夏に控える中、必要最低限の経費のみを計上する骨格予算にしなかった理由について、市議会全員協議会で尾花正啓市長は「デジタル化推進や人口減問題などは次に誰がやろうともやっていかないといけないこと。その思いで(今回の当初予算案に各事業を)入れた」と説明。会見では「コロナ禍でテレワークなど社会の様子も変わり、行政ニーズも変化している中で新しいニーズに応えられる、暮らしに寄り添う予算にした」と話した。

新型コロナ対策は、事業者や生活困窮者の支援、公共施設などの感染予防対策、ワクチン態勢を確保する取り組みを推進。人件費と合わせて総額25億6000万円を確保した。

その他は、第5次市長期総合計画(2017~26年度)の分野別目標である「安定した雇用を生み出す産業が元気なまち」「住みたいと選ばれる魅力があふれるまち」「子供たちがいきいきと育つまち」「誰もが安心して住み続けられる持続可能なまち」の4政策を重視。観光の活性化や企業誘致、移住者支援、デジタル化の推進などに引き続き取り組む。

特別会計と公営企業会計を合わせた予算総額は前年度比0・7%増の2832億68万円となった。

予算案は17日開会の2月定例市議会に提案される。

 歳 入 

市民税の伸びなどによる市税増収によって自主財源比率は同比2・6%増の47・3%。地方交付税などの依存財源の割合が下がった。

市税は同比7・5%増の587億2000万円。内訳は、個人・法人市民税で計10億8000万円増。新型コロナ対策の減免措置終了に伴い、固定資産税も大幅増となるため計41億1000万円増を見込む。

繰入金などその他の自主財源は同比6・4%減の94億4000万円。貯金に当たる財政調整基金からの繰入額の大幅減が要因。22年度末の同基金残高は、97億7000万円を見込む。
依存財源は地方交付税と、償還が同税で措置される臨時財政対策債の合計で同比2・9%減の170億2000万円。借金に当たる市債発行額は、市民会館整備事業債の減少などで同比40・3%減の40億2000万円に下がった。

国県支出金は、新型コロナ対策の臨時交付金や生活保護費負担金などの増額により同比4・3%増の437億4000万円となった。

また、本年度ふるさと納税の収支見込みについては、寄付額から市外への寄付で控除される額を引いた収支で約2億円のプラスとなった。

 歳 出 

義務的経費は同比1・7%増の904億6000万円。内訳の人件費は、給料などは減額したものの退職金の増加によって同比1・0%増の256億5000万円。扶助費は、新型コロナ対策の入院費の公費負担や生活保護費の増加によって同比3・8%増の485億5000万円。市債の返済などに当てる公債費は同比2・8%減の162億6000万円となる。

投資的経費は、30・8%減の55億8000万円。約29億円減となる和歌山城ホール整備事業の大幅減が要因。

その他の経費は、同比0・8%増の480億7000万円。新型コロナワクチンの予防接種委託料は約6億9000万円減となるが、ふるさと納税返礼品経費や、介護保険事業などの特別会計への繰出金増で3億9000万円増えた。

( )内は前年度

( )内は前年度

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