コンタクトセンター完成 コムテック

介護ニーズに迅速対応

 

コムテック コンタクトセンター完成

 

 

介護消耗品や感染対策商品・医療機器などを販売する和歌山市西浜の「コムテック」は、業務の迅速化を目指した「コムテック・コンタクトセンター」を増築した。先月28日から本格稼働した新施設は、全体の3分の2を占める倉庫の他に、介護施設関係者らからの注文や要望を受け付けるコンタクトセンターが入ったのが特徴。大規模保管と注文応対を一つにしたことで、商品管理の効率化と発送までの短縮化が期待できる。コムテックが掲げる「消費者本位」の企業理念をまさに体現した施設となる。

 

コンタクトセンター

コンタクトセンター

 

カフェでくつろぐ社員㊧(撮影時のみマスクを外しています)と3階の倉庫

カフェでくつろぐ社員㊧(撮影時のみマスクを外しています)と3階の倉庫

 

 

管理から発注まで一元化

 

新施設は昨年7月に着工し、3階建てで延べ床面積は1630平方㍍。1階と3階が倉庫スペースで、2階にコンタクトセンターが入る。
同社の倉庫は、これまで本社ビルの一角や敷地の別棟に設けられ、収容できない商品は周辺の貸し倉庫で保管していた。計1000平方㍍以上の広さを誇る倉庫の完成で、約8000種類におよぶ商品の機能的な管理が期待できる。
コンタクトセンターは、電話応対のコールセンター機能に加え、メールやネットにも対応できる機能を完備。全国の介護施設関係者から届く多様な注文形態に即応できる。
2階部分は、隣接する本社ビル2階と直結させた。本社の事務エリアとコンタクトセンターがフロアでつながったスペースで、新採用の8人が対応に当たり、先輩社員からの指導も受ける。
2階には社員の福利厚生エリアとして、これまでなかった休憩室を兼ねたカフェも新設された。隣接して多目的室もあり、通常は会議室として使用。パネル式の間仕切りを外せばカフェを拡張でき、社員が参加するクリスマス会などのイベントを開くことができる。その他にもトイレや更衣室なども完備した。新施設は社員にとっても働きやすい職場環境を提供している。
1日はコムテックの小村哲也社長(58)や、施工主の淺川組関係者ら約30人が出席して盛大に竣工式が行われた。

 

1日にあった竣工式

1日にあった竣工式

 

 

「消費者本位」で発展

 

コムテックを含むコムラグループは、ランプ器具販売業などを営むため小村幸次郎氏が1910年に立ち上げた「小村商店」が前身の企業。現在、小村商店の事業を継承するガラス卸売り業主体の「コムラ」と、介護事業主体の「コムテック」、居宅介護支援・福祉用具貸与の「すまいるケアサービス」などからなる。
コムテックは89年に不動産業を主体に創業された。その後、幸次郎氏から4代目、現社長の哲也氏が社長に就任した2000年に介護事業に参入。
昨年の売上高を見ると、コムテックがコムラに迫るようになってきた。社員約50人を抱えるまでに成長した企業の成果が数字となって表れている。
介護業界大手といち早く提携し、全国8000カ所の介護施設やグループホームなどに介護用品を安定的に納入できている点が大きい。加えて、消費者に当たる入所者たちの声に常に耳を傾ける「消費者本位」の姿勢も人気を集めている。例えば、入所者が介護用品以外でも飲み慣れたコーヒーなどの食品類や日用品が「欲しい」と言えば、全て用意する手厚いサービスが他社にはない魅力となっている。
介護事業を始めたのは、哲也社長が社会福祉法人の活動に長年力を入れてきたことが原点にある。施設の関係者が障害者と接する以外に在庫管理などの業務に追われる姿を目の当たりにし、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ届ける」ことができれば、本来の業務に専念できると考えた。それが、高齢者や、高齢者を介護する人を手助けするコムテックの事業を始めるきっかけになったという。
「丁寧な対応、梱包(こんぽう)に感動した」「安くて良い商品をいつもありがとう」という声が会社には絶えず届いている。常に消費者本位を忘れずに研さんに励む会社の未来は明るい。

 

建物左がコンタクトセンター。中央奥はコムテック、右はコムラの各本社

建物左がコンタクトセンター。中央奥はコムテック、右はコムラの各本社

 

【建物概要】所在地=和歌山市西浜1047の1▽構造=鉄骨3階建て▽敷地面積=1834平方㍍▽管理品目=消耗品を中心にした介護用品、車いすなどの福祉用具、マスクや手袋などの感染予防商品、救急セットなど。

 

小村哲也社長「社員にも優しい会社で」

われわれの企業理念は、初代の小村幸次郎の知人でもあった経営の神様、松下幸之助氏の言葉が根底にあります。「売りたいものを売るのではなく、お客様が必要とするものを売れ」。押し売りでは長続きはしない、常に消費者の声を聞き続ける姿勢にこそ商機があると確信しています。
もう一つ、大切にしていることがあります。それは社員に優しい職場環境を保つことです。会社の待遇に不満を持ったままでは、消費者へのサービスも行き届かなくなる恐れがあります。
例えば、社員の子どもの運動会や授業参観があれば「積極的に休め」と提唱しています。その社員が急に休んでもフォローできるように、常に社員間の仕事の共有や人員配置もできているからです。いくら提唱しても到底できない業務システムで回していては、社員の士気は低下するだけです。このシステム構築はトップの覚悟が求められます。私は経営を安定させる「近道」だと信じて取り組んでいます。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、以前にも増して業務は多忙になっています。今回完成した施設は業務の効率化を図れるとともにカフェを設けるなど、大企業の福利厚生に比べればささやかではありますが、社員に優しいスペースもあります。施設の完成を機に、会社が「消費者本位」「社員本位」の姿勢で飛躍していくことを願ってやみません。

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