鳴らして心鎮めよう 萬波に「いかりの鐘」

「コロナ退散」「ロシア許せん」「値上げ反対」――。生きていれば怒りの感情が湧くのは人の常。和歌山市新和歌浦の老舗温泉宿「和歌の浦温泉 萬波 MANPA RESORT 日本スタイル」は、鐘を鳴らすことで怒りを鎮められるモニュメント「いかりの鐘」を設置した。本紙連載「人酔い日記 カウンター越しの和歌山」を寄稿するタレント越前屋俵太さん(60)がプロデュース。坂口宗徳社長(47)は「立ち寄ったら鳴らして」と語り、和歌浦の「新名所」にと意気込む。

萬波は和歌浦湾を望む温泉宿。昭和初期に建てられた建物は増改築し、現在は7階建ての38室、200人が宿泊できる。露天風呂の温泉や和食料理を楽しめるレストランなどが人気を集める。

いかりの鐘は敷地の入り口付近に設置。コンクリート製の土台を含めて高さ約2・6㍍、幅0・6㍍のモニュメント。市の「アートシティ和歌山」の事業の一環で、除幕式が行われる16日から一般に利用できる。

構想のきっかけは40年ほど前、坂口社長の父邦嗣さん(71)が製作した「夢の鐘」だったという。観光名所にしようとホテルから見下ろせる海岸沿いに造られ、他にも6カ所建設する予定だったが、1カ所のみで止まっていた。

その話を聞いた俵太さんは、邦嗣さんの志を継承しようと2カ所目の鐘の構想を発案。「世の中、コロナやロシアのウクライナ侵攻などもあって怒りだらけ。船の碇(いかり)を沈めるように、心の怒りを鎮められたらいいのではないか」と思い立ち、鐘の支柱部分を船の碇のオブジェ3本をつなぎ合わせる作品に仕上げた。語呂合わせも巧みに取り入れる、俵太さんらしいユーモアがあふれる。

一足早く鳴らしてみると、鐘の高らかな響きと余韻が周囲に漂い、除夜の鐘にも似た音色が心を落ち着かせる。「この余韻が治まると同時に怒りも鎮められたらなによりです」と俵太さんと坂口社長。最後はそろって鐘を鳴らすひもを手に笑顔を見せていた。

問い合わせは萬波(℡073・444・1161)。

「いかりの鐘」が完成し、笑顔の俵太さん(手前)と坂口社長

「いかりの鐘」が完成し、笑顔の俵太さん(手前)と坂口社長

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