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和歌山さんぽみちプロジェクト

徳島県で栽培盛んな「すだち」

前号では、和歌山でわずかに栽培される、爽やかな香りが特徴の「シークヮーサー」を取り上げた。このシークヮーサーに見た目が瓜二つの柑橘(かんきつ)がある。今週は「すだち」を紹介したい。
「すだち」は直径4㌢程度の柑橘で、シークヮーサーとほぼ同じサイズ。ハウス物や貯蔵されていたものが年間を通して流通するが、主な収穫時期は7月から11月ごろ。サンマなどの焼き魚に添えられることも多く、秋の訪れを感じさせてくれる。
特徴は香りの良さ。爽やかな香りと酸味が食材の味を引き立ててくれる。果実を食べることはできず、輪切りにして搾り、食材にかけるか、皮のまま擦り下ろし、ワサビなどと混ぜて風味を際立たせるという楽しみ方もある。
名前の由来は、元々、食酢として使われていたことから「酢(す)の橘(たちばな)」という意味で「すだち」と略されたという。現在も、すだちの果汁を使ったお酢や、ポン酢の他、お酒としても使用されている。
もう一つの特徴は、すだちに含まれる成分。クエン酸が多く含まれることから疲労回復に有効とされている。また、すだちの酸味により、しょうゆなどの塩分が多い調味料の使用を控えることで減塩効果が期待される。他にも「スダチチン」というポリフェノール成分が肥満予防に効果があるとされ、健康志向の柑橘といえる。
主な生産地は徳島県。農水省統計(2018年)によると、全国シェアの約98%が徳島県。和歌山県は約0・1%で全国6位。県内では主に紀の川市が主要な産地となっている。
お隣の徳島県で盛んに栽培されるすだち。その香りに秘められたさまざまな効果を体感してほしい。
(次田尚弘/和歌山市)