WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

果汁が多く甘さ先行「黄金柑」

前号では、100年以上の歴史を持ち、県内で盛んに栽培されている「セミノール」を取り上げた。今週も果汁たっぷりの柑橘(かんきつ)「黄金柑(おうごんかん)」を紹介したい。
黄金柑は温州みかんよりも小ぶりで、直径3㌢、重さは60㌘程度。外皮はレモンイエローで、その容姿からレモンのような酸っぱさを連想するが、実際に食してみると甘味が先行し果汁量も多い。外皮は剥きやすく、袋(じょうのう)ごと食べることができる。
来歴は不明とされるが、温州みかんと柚子の交配、あるいは「川畑(かわばた)みかん」や「花良治(けらじ)みかん」という九州や奄美で栽培される柑橘の系統ではないかといわれている。
栽培は明治時代からで、鹿児島県日置郡で「黄蜜柑(きみかん)」と呼ばれ、その後、現在の名で呼ばれるようになったという。その名を英訳し「ゴールドオレンジ」の名で販売されることもある。
果実をそのまま食する以外に、外皮ごとジャムやマーマレードにされる他、外皮から精油を抽出しアロマオイルとして活用される事例もあり、甘い香りが特徴の黄金柑ならではの活用法といえよう。
2018年の農水省統計によると、生産量第1位は静岡県(41・5㌧)、第2位は愛媛県(30・9㌧)となっており、全国的に生産量は少なめ。統計値には掲載されていないが、和歌山県内でも生産されており、果物店や産直市場などで手に入れることができる。旬は3月から5月にかけて。
見た目によらず甘くてジューシーな味わいが楽しめる黄金柑。ぜひ、お試しあれ。
(次田尚弘/和歌山市)