県関係は44人受章 各界功労者に春の叙勲

各界の功労者に贈られる2022年春の叙勲の受章者が29日に発令され、和歌山県関係は62~94歳の44人(うち女性5人)が受章した。受章者の内訳は、旭日双光章10人、旭日単光章4人、瑞宝中綬章1人、瑞宝小綬章3人、瑞宝双光章12人、瑞宝単光章14人。今回を含めて県内の受章者総数は4938人(うち女性375人)となった。

新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、拝謁は行われず、各省庁での伝達式は検討中で、県からの上申者の一部は県庁で伝達を行う。

晴れの受章者は次の皆さん。

【旭日双光章】上野耕志(71)元岩出市議、同市紀泉台▽榎本浩巳(90)元県社会教育委員連絡協議会会長、御坊市藤田町吉田▽江見啓志(70)元県歯科医師会副会長、和歌山市府中▽大倉勝行(70)元田辺市議、同市中三栖▽柏木隆夫(72)㈲柏木製麺所代表取締役、和歌山市松島▽川勝昇(91)元串本町議、同町有田▽坂口邦嗣(71)元県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長、和歌山市田野▽西岡昭規(74)元県医師会理事、海南市下津町橘本▽三浦利枝子(71)元県体育協会常任理事、大阪府岬町淡輪▽陸平輝昭(70)元田辺市議、同市下川下

【旭日単光章】大西信昭(71)元広川町北之町区長、同町広▽中村勝次(83)和歌山市吹上地区第四区自治会長、同市小松原通▽前田敏雄(70)元名田周辺土地改良区理事長、御坊市名田町野島▽眞鍋政次(94)元白浜町港町内会長、同町

【瑞宝中綬章】南條輝志男(76)労働者健康安全機構和歌山労災病院長、和歌山市下町

【瑞宝小綬章】浦純久(76)元県警本部刑事部長、和歌山市塩屋▽楠本隆(74)元県環境生活部長、同市鷹匠町▽玉置和幸(72)元横浜公安調査事務所長、同市平井

【瑞宝双光章】池永悦二(72)元陸上自衛隊中央業務支援隊人事統計部資料処理科長、美浜町吉原▽大江尚次(75)元由良町消防団長、同町江ノ駒▽大江嘉幸(77)元公立高校長、岩出市高塚▽鬼松光夫(80)元公立小学校長、有田市宮原町新町▽河内谷艶子(87)元公立小学校長、岩出市中黒▽小島忠秋(75)元西宮郵便局長、和歌山市園部▽寺田正(73)元公立小学校長、由良町里▽原健一(74)原左官工藝代表、和歌山市湊御殿▽古田浩太郎(81)学校医、日高町荊木▽前田恒(86)元公立中学校長、橋本市隅田町下兵庫▽向山壽紀(73)保護司、海南市下津町方▽山本宜史(74)元公立中学校長、和歌山市杭ノ瀬

【瑞宝単光章】合川雅也(68)元田辺市消防団副団長、上富田町南紀の台▽井中家康文(73)元紀美野町消防団分団長、同町円明寺▽上山惠美子(77)民生・児童委員、すさみ町周参見▽裏東芳樹(74)元那智勝浦町消防団分団長、同町勝浦▽岡﨑永次(80)元新宮市消防団分団長、同市下田▽川口裕淙(78)元有田市消防団副分団長、同市山田原▽竹上昌宏(74)元有田川町消防団副団長、同町楠本▽田村公一(68)元かつらぎ町消防団長、同町大谷▽辻澤比佐子(70)元各種統計調査員、和歌山市島▽冨田志朗(73)元白浜町消防団分団長、同町▽中西秀夫(67)元日本郵政公社職員、海南市下津町方▽長沼千秋(70)元橋本市消防団副団長、同市高野口町名古曽▽中元眞智子(62)木ノ本こども園長、和歌山市向▽山本富也(65)元上富田町消防団分団長、同町生馬

 


 

旭双 元県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長
坂口 邦嗣さん(71)
― 和歌山市田野 ―

 

「謙虚に感謝」を大切に

慶應義塾大学卒業後、22歳で父親が経営する地元和歌浦地区の旅館業㈱観潮楼(現㈱観潮)に入社。以降約50年、「謙虚に感謝」をモットーに、人との付き合いを大切に心温まるおもてなしを心掛けてきた。

最も印象に残っているのは2011年に発生した紀伊半島大水害で取り組んだ被災者支援。当時は県旅館ホテル生活衛生同業組合の理事長だった。「旅館、ホテル業界として何かできることはないか」と奔走。旅館やホテルの協力を得て、無償で被災者に宿泊所や風呂を提供できた。その時の経験と思いが、避難者の受け入れを円滑にできるよう2015年、県と結んだ「災害時における避難者の受入れに関する基本協定」の締結へとつながった。また安心安全な観光地に向け、県と連携し、県内のホテル・旅館の耐震化に全国で最も早く取り組むなど、同組合理事長を務めた激動の11年間、業界のため尽力した。

現在は同組合の相談役などを務める。人と楽しく会話することが好きで、「『もう一度会いたい』と思ってもらえる、そんな人間にならないとね」と笑顔で話す。

 


 

瑞中 和歌山労災病院長
南條 輝志男さん(76)
― 和歌山市下町 ―

 

地域医療充実にまい進

幼少の頃から医師だった父親に憧れ、1970年に県立医科大学を卒業。以降、50年以上のキャリアの中で大切にしてきたのは、父親が55歳で亡くなる前、当時高校生だった自身への「もしも医学の道に進んだら、いいお医者さんになれ」との遺言だった。

その言葉を胸に、逆境をチャンスと捉える「発想の転換」を常に意識しながら、地域医療にまい進。研究施設や指導者、時間がない環境でも「多数の患者さんを診察できるチャンスがあると捉えて臨床研究を続けた」と当時を振り返る。

郷土愛を込めて自身が名付けたインスリン遺伝子異常症「Insulin Wakayama」という世界的な発見も、「多くの患者さんとの出会いによって学ばせていただいたおかげ」と話す。

受章について「家族を含め、交流のあった皆さんとの出会いや、チーム医療でのスタッフの支えによって頂けた章」と感謝。「今後も医療のみならず、さまざまな分野で社会貢献できれば」とさらなる飛躍を誓い、「いまだに超えられない」という父親と共に、天国で見守る母親にも「受章を報告したい」とほほ笑む。

 


 

瑞双 元公立高校長
大江 嘉幸さん(77)
― 岩出市高塚 ―

 

言葉掛け寄り添う教育

和歌山大学教育学部を卒業後、1968年から現在に至るまで教育に携わる。教師を目指したきっかけは中学3年の時の担任に憧れたから。教諭は翌年殉職したが「今も憧れの教師像として支えになっている」と話す。

同大付属中学に在職中には、サッカー部や野球部を立ち上げた他、「生徒と一緒に文化祭を成功させたことが思い出深い」と振り返る。退職後は和歌山市教委教育長として、藤戸台小学校の創立や、伏虎義務教育学校誕生への道筋を立てた。

好きな言葉は「一期一会」。子どもたち一人ひとりへの〝言葉掛け〟を大切にするのは今も変わらない。日本教育会、学校法人和歌山信愛女学院、島ものづくり塾、地域の見守り隊など、「今も子どもと関わっているし、今後もずっと教育に関わっていきたい」と意気込む。

目まぐるしく変化する今の時代に教師を目指す学生たちにも積極的に声を掛け、コミュニケーションの大切さなど、自身の思いを伝える。そして「生まれ変わっても教師になり、不登校の生徒らに寄り添いたい」と生涯現役のみならず、来世でも教師を志す。
 

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