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和歌山さんぽみちプロジェクト

和と洋の融合「福原オレンジ」

前号では、県内において田の浦オレンジの名で流通される「サンフルーツ」を取り上げた。収穫まで果実を木で実らせてから収穫する木成り栽培は、この時期に流通する柑橘(かんきつ)で用いられることが多い。今週は、木成り栽培され、果汁たっぷりで甘さが際立つ「福原オレンジ」を紹介したい。
福原オレンジの歴史は古く、発見されたのは100年以上前の1909年ごろ。千葉県にある福原氏の農園で生まれ、1930年に新品種として認められたもの。「ユズ」に「ジョッパ」という柑橘を「高接ぎ」という手法で接ぎ木し、接着部から発芽し成長したものが福原オレンジの始まりとされる。
ジョッパとはアメリカ原産の柑橘で、直径約7㌢、重さは約200㌘。日本には1899年に持ち込まれ栽培を試みるも、果実が成熟するまでに冬季の寒さが原因で果実が落下し、商用には向かないとされていた。
高接ぎとは、枝や幹など高い位置で行う方法で、新品種を生み出すときに用いられ、元々の木を台木とすることで成長の期間を短縮し、早く結果を出すことができるという。
福原オレンジのサイズはジョッパとほぼ同じ。外皮には張りがあり分厚く手でむくのは難しく、ナイフを使い8等分程度に切るのがおすすめ。果汁が多く断面から果汁がこぼれるほど。食してみると甘さが際立ち、香りも良く、子どもから大人まで楽しめる味わい。
福原オレンジは農水省などが出す統計値で全国の栽培量は公表されていないが、静岡県、長崎県、福岡県などが主な産地。県内でも栽培されており、筆者は田辺市産のものを購入した。
100年以上の歴史をもち、和と洋の融合により生まれた福原オレンジ。ぜひ、ジューシーな味わいを楽しんでみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)