知らずに採っても「密漁」 海保が呼び掛け

海洋レジャーが本格化するのを前に、和歌山海上保安部は総合的な密漁対策として、取り締まりを強化するとともに、知らずに採捕した場合でも罪に問われることのある水産資源の情報やルールなどを広く一般市民にも呼び掛けている。

同海上保安部によると、2020年は1件だった密漁の摘発件数は、昨年6件、ことしはすでに約10件と右肩上がりの増加傾向にある。要因は漁業者からの要請による取り締まりの強化と考えられるとし、いずれも組織的な密漁ではなく、自己消費のためで、アワビやサザエ、ガンガラ、カキ、ウニ、ワカメ、ヒジキなどが対象だったという。

アワビやナマコなどの高級食材は悪質な密漁が問題となったことから、18年の漁業法改正で「特定水産動植物の採捕禁止違反の罪」、「密漁品流通の罪」を新設。現在はアワビとナマコが特定水産動植物に指定されており、来年12月からはシラスウナギにも適用となる。採捕の禁止に違反した場合、3年以下の懲役または3000万円以下の罰金と非常に重い罰則となっている。

その他、アサリやマダコ、ハマグリ、ワカメ、ウニ、コンブ、イセエビなど、漁業権の対象である水産動植物を採った場合にも、漁業権の侵害となり、密漁で100万円以下の罰金が科せられる。また、無許可操業等の罪や漁業権侵害の罪の罰則も引き上げるなど、全体的な罰則の強化を図っている。漁業権とは「一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」のことで、漁協や漁業者が県に申請し、県知事の許可を受けて漁業を営んでいる。漁協や漁業者は経営の持続性や安定性を阻害する密漁をなくそうと、漁業権を知らせる看板を設置するなど注意喚起しているが、密漁は後を絶たない。

同海上保安部の山下雄一郎部長は「個人の消費を目的に水産動植物を採捕した場合でも密漁とされます。レジャーを楽しむ上で、決められたルールをしっかりと守るようお願いします」とコメントしている。

 

漁業権を知らせる注意喚起の看板

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