非公共ヘリポートで初 東署が災害警備訓練

和歌山東署は3日、地震などの大規模災害が発生した際の対応能力や技術の向上を目的に、和歌山市下三毛の小倉カントリー倶楽部屋上にある非公共用ヘリポートで、県警航空隊の小型ヘリコプター「きのくに」を活用した災害警備訓練を実施した。

同署管内にある非公共ヘリポートは同施設と㈱島精機製作所(同市坂田)の2カ所で、管内の非公共ヘリポートを使用した訓練は今回が初めて。

訓練は大規模災害の発生後を想定して行われ、署員をはじめ、県警本部警備部警備課の警察航空隊や同部機動隊ら約20人が参加した。

同署の左向伸次署長が「訓練を通じて練度を高め、知識を吸収し、将来発生する大規模災害に備えてほしい」と訓示。県警航空隊が操縦する同機が着陸した後、署員らは機動隊員の輸送や、災害装備資機材と救援物資を搬送する訓練を行った。

航空隊の坂本昭浩隊長は「災害現場ではヘリコプターが降りる場所を選定する必要がある。できるだけ周りに障害物がなく、硬くて平らなところを選ぶように」とアドバイス。ヘリコプターに対する手信号なども実践を交えながら教えた。

同署警備課災害係長の新谷昌信警部補は「渋滞などがなく、スピードを生かした救助ができるヘリコプターは大きな武器。学んだことを生かし、今後は孤立集落などでも訓練ができれば」と意気込んだ。

訓練に協力した同施設には、阪神淡路大震災以前の1990年に中村吉宏代表取締役が「珍しいクラブハウスを」と考え、耐震性が高くなることなどからヘリポートも建設。バブル時代の当時は関西国際空港もなく、白浜や四国などに行く娯楽目的で利用されていたという。

昨年は消防からの依頼でドクターヘリの訓練に協力したり、実際に同ヘリポートから県立医大まで患者を搬送したりするなど、年々協力依頼が増えているとし、中村代表取締役は「一人でも命が助かるのであればヘリポート付きのハウスを造った意義があるのかな。今後もできる範囲で協力していきたい」と話した。

災害装備資機材や救援物資の搬送訓練をする署員ら

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