英語の正しい発音を 菅沼さんが新教材開発

発音学習こそが言語を習得する第一歩―。英語の個人レッスンや通訳、翻訳など、英語にまつわる幅広いニーズに応える、㈱プロスキル(和歌山市西高松)は英語学習法「フォニックス」を活用した、英語学習教材シリーズ「EP-edu」の第5弾「Vowels」を開発した。同社の菅沼直子代表取締役(50)は「アルファベットの音を学んで、楽しく英語を身に付けてほしい」と呼び掛けている。

フォニックスとは、アルファベット1文字、1文字が持つ「音」のこと。英語圏では主流の学習方法で、例えば、「bus」であれば、「b(ブ)」、「u(ア)」、「s(ス)」とそれぞれの音を足して読む。習得すれば、初めて見た単語でも読めるようになり、正しい発音も身に付く。またリスニング力も向上するという。

4人の子どもの母でもある菅沼さんは、東京都生まれ。父親の転勤で5歳からアメリカ・サンフランシスコ郊外で暮らし、現地の幼稚園や小学校に通い、9歳の時に帰国。結婚、出産後は、子どもが通う小学校で、ゲストティチャーを経験。海外での体験を話すうちに、「学ぶ=自発的にもっと知りたいということ。子どもたちの興味の窓を開けてあげたい」と、同市に移住後、起業した。菅沼さんは「読み書きはできても、土台となる発音ができていない」と現状の英語教育を疑問視し、2017年に英語指導者向けの発音検定「英語発音技能検定EP-Pro」、19年に子ども向けの「英語発音技能測定テストEP-Jr」の開発運営を始めた。

昨年開発した音声連動型カードゲーム教材「EP-edu」シリーズは、記載の2次元コードを読み込むと、発音動画ページにつながり、フォニックスの正しい発音が学べる。カード形式で、遊びを通して反復練習できるのも特長。シリーズ最終章となる第5弾は英語の母音(Vowels)に着目し、二重母音などのルールを楽しく学べる。

20年度から英語が小学校で必修化となり、学ぶ児童は増えている一方、学校教育でフォニックスを学ぶ機会はほとんどない。また教諭のレベルにばらつきがあり、教育が現状に追い付いていないことにも、菅沼さんはもどかしさを感じているという。

昨年は、市内の学校で「EP-edu」シリーズを使った出前講座を実施。児童からは「英語って楽しい」、「日本語と英語って音が全然違うんだね」、「まちなかで見つけたアルファベットが読めるようになった」などの声があったといい、菅沼さんは「〝分かる〟が増えていくこと、読めるようになるということは子どもにとって楽しいこと」と笑顔。

菅沼さんは「夢は、日本の全ての小・中学校で、フォニックスから英語を学び始める環境をつくること、子どもたちがどこの学校に行っても正しい発音が学べるような環境を整えること。それをかなえる一つのツールとして学校で『EP-edu』を活用してもらえれば」と呼び掛けている。

菅沼さんは、より多くの人に同シリーズを知ってもらおうと新しいチャレンジを応援するクラウドファンディングサイト「Makueke」を利用している。17日まで。同シリーズは、同市広瀬中ノ丁の宮脇書店などでも取り扱っている。価格は各1650円。

フォニックスに着目し、教材開発をする菅沼さん

フォニックスに着目し、教材開発をする菅沼さん

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