5類変更「飲み薬」必要 仁坂知事が見解

新型コロナウイルスの感染症法上の扱いを現在の「2類」から季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げる議論について、仁坂吉伸知事は26日、ウイルスの毒性が現在よりも下がること、手軽に経口薬を処方できる状況となることが条件となるとの見解を示した。塩野義製薬が開発した国産初の飲み薬の承認を厚生労働省の専門家分科会が見送ったことについても、「自分の責任逃れのためにやってるとしか思えない」と強く批判した。

塩野義製薬の飲み薬は、有効性を判断するデータが不足しているとの理由で承認が見送られた。

仁坂知事は、承認で重視すべき点は重篤な副作用があるかどうかだとし、他の承認薬も全てに効果があるわけではないとの認識から、「効くか効かないかをそんなに熱心にやる(審議する)のか、という感じはある。マーケットに任せてもいいんじゃないか」と述べた。

5類への引き下げについては、保健医療行政による現在の感染拡大防止の手段が取れなくなることを問題視し、「体の弱い人が命を落とさないように、ちょっとでもおかしかったらすぐに薬を処方することでもしないと、無責任じゃないのかと私は思う」と話し、複数の経口薬が承認されれば、引き下げが視野に入ってくるとの認識を示した。

また、県内の新型コロナ対応病床の使用率が65・8%(25日時点)の高水準となっていることについて仁坂知事は、「これ以上高くなると、病床がパンクすることを防がなければならない局面にきている」と発言。

感染が急拡大した1~2月のように、高齢者施設での感染者を病院に移さず、施設内にとどめるなどの対応が必要な状況に近づいているとし、医師や看護師の感染により、実質的に使用可能な病床数が確保数よりも少なくなる事態も発生していることから、「楽観を許さない」と危機感を示した。