【特集】智弁和歌山 史上7校目の夏連覇へ

史上7校目の夏連覇へ 智弁和歌山

 

6日に阪神甲子園球場で開幕する第104回全国高校野球選手権大会に、智弁和歌山が出場する。5大会連続の出場となるチームは和歌山大会の優勝直後、「日本一をチームの目標にしてきた。甲子園では暴れたい」と史上7校目の夏連覇を誓った。初戦は、大会8日目の第3試合で日大三島(静岡)と国学院栃木(栃木)の勝者と対戦。和歌山大会の戦いぶりや注目の選手を紹介する。

昨夏に続く全国制覇を目指す

 

今春の段階では、「チームの現在地を探す」として春季近畿大会に臨んだ。結果は圧倒的な試合運びでセンバツ優勝を飾った大阪桐蔭を破り、頂点に輝いた。大阪桐蔭の連勝「29」でストップさせたことでチームの現在地は思っていた以上に前進。しかし、「夏に向けてまだまだ課題は山積み」と中谷仁監督は現状に満足しなかった。

選手の経験値は着実に上がっていたが、勝負どころのミスや、初対戦の相手には攻略するまで時間がかかるなど、夏本番まで課題を洗い出し、戦力の底上げを図った。

和歌山大会では、初戦で田辺を7―0で破ると、3回戦も向陽に7―0でコールド勝ち。準々決勝の日高中津戦では、打線が爆発し15―1と圧勝し、5回コールド勝ちを収めた。準決勝は、今大会に旋風を巻き起こした和歌山南陵に9―2と7回コールド勝ち。

決勝では、智弁和歌山・塩路、桐蔭・高野の先発から始まり、中盤まで息の詰まる投手戦となった。1回、智弁が無死1、2塁と塁を詰めるも先制の好機を逃した。その裏、二死1、3塁のピンチを招いたが得点を与えなかった。
初回の重苦しい雰囲気を吹き飛ばしたのは智弁。2回、6番青山が左中間へ本塁打を放ち先制すると、6回にも3番渡部の左中間方向への本塁打が飛び出しリードを2点に広げた。

7回に桐蔭の反撃に遭い、一死1、3塁の場面で右ゴロの間に1点を返された。1点差に追い詰められた智弁だが、8回に先発の8番塩路が左スタンドに飛び込む本塁打で再びリードを3点に突き放した。続く渡部が同試合2本目となる本塁打で試合を決定づけ、全国大会への挑戦権を手にした。

中谷監督は和歌山大会で優勝した直後のインタビューで「ことしも全員で和歌山に優勝旗を持ち帰る」と頼もしく宣言。選手たちの目も、既に甲子園の舞台を見据えていた。

 

 

層の厚い投手陣

 

(左から)先発として投手陣を引っ張った塩路とリリーフと守備でチームに貢献した武元

 

投手陣は、常時140㌔以上の高めに伸びる直球とスライダーの切れ味が鋭い右スリークオーターの塩路と、揺れ動くジャイロ回転の球で相手打者を翻弄(ほんろう)する本格派の武元に注目。

塩路、武元のエース級以外にも、投手陣の層が厚い。中谷監督は春季近畿大会の時点で、「塩路、武元に続く投手がいない」と頭を抱えていたが、今大会で橘本、西野、清水、濵口といった控え投手が結果を残し、安定感は抜群だ。

 

 

1番山口の定着

 

3本塁打を記録した山口

 

決勝では、本塁打で流れを引き寄せた強力打線。昨年はけがで優勝の輪に入れなかった山口は今大会3本塁打を放ち、ドラフト注目の渡部も3本塁打を記録。青山も1本飛び出し、役者がそろった。

初戦の田辺戦は打線が序盤から沈黙していたが、終盤に打線がつながった。3回戦ではビッグイニングをつくったが、中谷監督は「他の回に得点できなかったことが課題」と反省。

準々決勝の日高中津戦では、山口の満塁弾と渡部の3点本塁打だけでなく適時打も多く飛び出し、くまなく得点を挙げた。

決勝では、桐蔭のバッテリーを攻略できず初回から好機を潰していたが、本塁打で力の差を見せつけ、優勝に導いた。岡西主将は「塩路の粘りがチーム全体に『1点を取りにいこう』という意識を芽生えさせた」と言う。「低い弾道の打球を心掛けよう」。練習から積み上げてきた意識が決勝の舞台でバットに乗り移り本塁打を量産した。

和歌山大会では、5試合中、4試合で二桁安打と全試合で9本塁打を記録した。史上7校目の夏連覇へ――。智弁和歌山の夏は視界良好だ。

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