市政の課題巡り討論 和歌山市長選候補2氏

任期満了に伴う和歌山市長選(14日告示、21日投開票)の告示が3日後に迫った。現職の尾花正啓氏(69)=自民、公明、国民民主推薦=と新人で前市議会議長の𠮷本昌純氏(65の無所属2人が立候補を予定し、一騎打ちの公算が大きくなっている。前哨戦が終盤を迎える中、一般社団法人和歌山青年会議所(辻川大器理事長)主催の公開討論会が開かれ、2人は政策を戦わせた。

コロナ禍の経済対策や市の産業振興の政策では、尾花氏は、プレミアム付き商品券を発行し、市内中小事業者での限定使用分を設けること、市内企業の設備投資への支援、京奈和自動車道と第二阪和国道の接続の推進などを挙げた。𠮷本氏は、市民や地元企業への直接的な支援を行うこと、脱炭素に向けた環境産業の育成や誘致、太陽光発電による電力を蓄電する電池の製造施設や研究所の誘致などを示した。

福祉政策では、𠮷本氏は、障害者と農業をつなぎ、産業化する「農福連携」の推進や、歩道の凸凹を直すなど生活に密着したインフラ整備などを提案。尾花氏は、子どもの医療費無償化を高校生まで拡充すること、高齢者の移動手段の確保へ、コミュニティーバスのさらなる導入などを挙げた。

政治姿勢については、尾花氏が、市民や市職員と議論を重ねてきたとし、「うれしいことに多くの市民が一緒にやろうと立ち上がってくれている」とまちづくりでの市民との協働の成果を強調したのに対し、𠮷本氏は、「市の方針、政策に市民一人ひとりの声が届いていない。政策立案が密室で決まり、声の大きなところに寄り添う、そんな政治が見え隠れする」と尾花氏の市政運営を批判した。

討論会終盤には、2人がお互いに質問を投げ掛けた。

尾花氏が「六十谷水管橋の崩落は市長の責任と言われているが、𠮷本さんなら止められたのか」と尋ね、𠮷本氏が「私でも止められなかったと思う。他の道路予算などを圧縮してでも(対策を)やっていきたいというのが私の考え」と応じると、尾花氏は、「(紀の川)北部に浄水場を新設し、バイパスルートを作る。この二つで市長としての責任を取っていきたい」と述べた。

頓挫したカジノを含む統合型リゾート(IR)誘致計画を巡る質疑もあり、計画の賛否を問う住民投票条例案が市民の署名で直接請求され、市議会で否決されたことについて、𠮷本氏が「今後同様のことが起こった場合はどうするか」と問うと、尾花氏は「ケース・バイ・ケースだと思う」と答えるにとどまり、時間の制約もあり、議論はかみ合わなかった。

討論会の動画は13日まで、同会議所ホームページ(https://www.wakayama-jc.net/?p=6747)で視聴できる。

尾花正啓氏

尾花正啓氏

 

𠮷本昌純氏

𠮷本昌純氏

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