一戦に泣いた有力校も 高校野球回顧①

まさかの初戦敗退で夢舞台が終わった智弁和歌山。しかし、聖地に至るまで打倒智弁に燃えた和歌山県内の出場校にもさまざまなドラマがあった。前後編に分け、地方大会を含めて今大会を振り返る。

7月12日に開幕した第104回全国高校野球選手権和歌山大会。今大会から吹奏楽部による応援が復活した。明るい兆しが見えてきた中で、大会直前に新翔が出場辞退。波乱の幕開けとなった。

試合中に脱水症状による足のけいれんを起こして涙を流す選手や、部員不足でわずか3カ月前に合同チーム結成を余儀なくされた有田中央・貴志川・串本古座の奮闘ぶりも感動を呼んだ。県和歌山は選手たちの掛け声の大きさが他校を圧倒し、16年ぶりの勝利をもぎ取った。

決勝は、高校野球界の盟主・智弁和歌山と古豪復権を懸けた桐蔭の顔合わせとなった。

両校の夏の頂上決戦は、1989年以来33年ぶり。当時は延長13回の末、智弁和歌山が劇的なサヨナラ勝ちを収めていた。今大会も、優勝は智弁。序盤は得点がなかなか入らず重苦しい試合展開となったが、終盤にかけて一発の力で流れを一気に引き寄せて5大会連続で甲子園の切符をつかんだ。

 

7月24日、県大会の神島戦でサヨナラ勝ちを決めた桐蔭

 


取材をしていて最も驚いたのは、シード校の和歌山商の初戦敗退。ことしのセンバツに出場した市和歌山と和歌山東も決勝を前に姿を消し、「負けたら終わり」の一発勝負の怖さを改めて思い知らされた大会だった。その教訓は直後の甲子園で再び思い知らされることに――。

(太田陽介)

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧