小1児童を救護 6年の入江さんに感謝状

人に優しくしたら自分に返ってくる――。この母親の教えを守り、優しさあふれる行動で負傷した女子児童を救助したとして、和歌山北署は4日、和歌山市立貴志南小学校6年の入江蒼生(あおい)さん(11)に感謝状を贈った。入江さんは「ちょっと怖かったし緊張したけど、助けられて良かった」と笑顔で話した。

入江さんによると9月7日午後1時30分ごろ、自転車で友人の家に向かう途中、同市土入の道路で頭から血を流して泣きじゃくる同校1年の女子児童を見掛けた。

「大丈夫?どうしたの?」と声を掛けたが、女子児童は道路に膝をつき「痛い」と泣いていたため、入江さんは現場にとどまりながら、道路の反対側にある延時交番にパトロールから戻ってきたばかりの警察官を見つけ、気付いてもらおうと大きく手で合図を送り、「こっちに来てください」などと助けを求めた。

駆け付けた警察官が消防に通報。救急車が到着するまでの間も入江さんは女子児童に寄り添うなど、迅速かつ的確な行動で救助した。同署によると、女子児童は下校中に自己転倒したことが分かり、軽傷で済んだという。

同署で行われた贈呈式で、阪口豊署長が「声を掛けるだけでも勇気がいること」と入江さんの行動をたたえ、感謝状と県警オリジナルのペンやクリアファイルなどの記念品を手渡した。

阪口署長から「あと6年たったら警察官になれるから、頑張って警察官になって人を助けてください」と声を掛けられた入江さんは、うれしそうにはにかんだ。「かっこいい」と警察官に憧れ、以前は将来の夢に挙げることもあったという。

同席した母親の美穂さん(36)に普段から「人に優しくしたら優しさが返ってくる」と言われているといい、「助けたことも、助けられたこともある」とにっこり。

助けを求めた道路は片側2車線で通行量の多い交差点。反対側にいる警察官に気付いてもらうため、車両をよけるようにしたり、手招きをしたりと工夫をしたという。「自分が呼びに行くと女の子が1人になってしまうから」という理由も含め、優しさが行動の一つひとつに表れており、無事に女子児童の救助に至った。

翌日、学校で女子児童を見掛けた際も、相手を気遣ってあえて声は掛けず心の中で「良かったな」と思ったと振り返る。「困っている人がいたから助けたのは当たり前のこと」と話す息子の快挙に、美穂さんは「このまま優しく育ってくれたら」と目を細めていた。

 

左からきしゅう君、美穂さん、入江さん、阪口署長

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧