県内から29人に栄誉 危険業務従事者叙勲

警察官や消防職員など危険性の高い業務に従事した功労者に贈られる第39回危険業務従事者叙勲の受章者が11月3日に発令される。和歌山県関係の受章者は、県が上申した6人と中央省庁などで選考された23人の計29人(女性1人、男性28人)。県関係の受章者総数は累計で1038人(うち女性11人)となる。

晴れの受章者は次の皆さん。

【瑞宝双光章】
赤坂隆功(73)元大阪府警視、田辺市本宮町渡瀬▽浅田喜久男(73)元警視正、和歌山市木ノ本▽天池勇二(73)元警視正、和歌山市北中島▽上高久夫(65)元海上保安官、和歌山市福島▽金澤光治(73)元大阪府警部、橋本市南馬場▽亀井泰久(73)元県警視、日高町比井▽久保武司(73)元警視正、和歌山市井辺▽谷口俊明(68)元田辺市消防司令長、同市上秋津▽千間正明(73)元県警部、上富田町生馬▽中瀬隆重(73)元県警部、白浜町栄▽野上惣十郎(66)元和歌山市消防司令長、同市木ノ本▽前田總(73)元県警部、海南市船尾▽前山芳英(73)元県警部、串本町出雲▽益田光則(65)元伊都消防組合消防司令長、かつらぎ町志賀

【瑞宝単光章】
岩橋幸紀(73)元県警部、かつらぎ町妙寺▽川井照夫(73)元県警部、白浜町田野井▽木地啓二(68)元海南市消防司令長、同市船尾▽久保進一(73)元県警部、和歌山市古屋▽熊下和義(74)元県警部、海南市北赤坂▽佐藤幸作(74)元県警部補、田辺市文里▽杉山典央(73)元県警部、和歌山市南出島▽勢見月文久(73)元県警部、かつらぎ町東渋田▽辻坂雅則(70)元新宮市消防司令、大阪市東成区大今里▽永友久夫(73)元大阪府警部、橋本市紀見ケ丘▽丹生義三(73)元大阪府警部、橋本市吉原▽松原敏恵(62)元法務事務官、和歌山市新在家▽松本憲詞(67)元和歌山市消防司令長、同市中▽和田佐登志(73)元県警部、和歌山市延時▽和田博(74)元県警部補、串本町西向

 


 

瑞双 元和歌山市消防司令長
野上 惣十郎さん(66)
― 和歌山市木ノ本 ―

 

「郷土のため」任務遂行

進路を考えていた高校3年生の時、運送業を営む、郷土愛の強い父親から「和歌山市に貢献できるような職業に就いたらどうか」と消防職を勧められ、高校卒業後の1974年春、消防の道に踏み出した。

以来、60歳で定年退職するまでの42年間、〝郷土防災〟を志した当初の思いを胸に任務を遂行。「人とのふれあいを重ねながら、和歌山市を良くし、守っていきたいとの思いを強くした」と振り返る。

特に印象深いのは89年7月10日、同市湊の大岩石油㈱青岸油槽所で発生したアクリル酸エチルの屋外タンク爆発火災。33基のタンクのうち1基だけが燃えていたが、他のタンクとの幅は約5㍍しかなく、いつ燃え移りや爆発が起こるかも分からない状況だったという。

「このまま燃え続けて消せなかったら命を落とすかもしれない」と身の危険を感じながらも「使命を全うしなければ」と懸命に放水を続け、36時間にも及ぶ消火活動の末、ようやく鎮火した。

受章については、互いに信頼し、一致団結して現場に臨んだ同僚はもちろん、支えてくれた家族のおかげと感謝。現在は民生委員を務め、「和合(わごう)と感謝の気持ちを大切に、地域のために一つでも多く貢献できれば」と意気込む。

「消防士になって良かった。次の人生でもまた消防士になりたい」と話し、この道を勧めてくれた亡き父にも、感謝と受章を伝えたいとほほ笑む。

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