WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

わずかに和歌山でも栽培「かぐや」

前号では、大玉でありながら緻密な肉質が特徴の「嶺鳳」を取り上げた。今週は、嶺鳳と同じく「あかつき」から作られた「かぐや」を紹介したい。
かぐやは福島県福島市で生まれた極晩生種とされ2013年に品種登録。正式な品種名は「かんのT7号」という。果実は楕円形で、重さは350㌘程度とあかつきよりもやや大きい。果皮は無袋で育成されるため、全体的に濃い紅色に着色する。
果肉はやや硬めで繊維質が少ない。あかつきと同様に白肉でありながら、中心部分の周囲に鮮やかな赤の着色があり、赤と白の美しいコントラストが特徴。糖度は13度を超えるほど。
食してみると甘味が強いわりに酸味は少なく果汁は多め。あかつきよりも溶質でジューシーな食べ応え。収穫時期は8月下旬から9月中旬と桃のシーズンの終盤にかけて。この時期の桃はジューシーさに欠ける品種が多いが、かぐやの場合はシーズンの盛りに収穫される桃と変わらないほど。日持ちに優れることから贈答品としての需要がある。
農水省統計によると、生産地の第1位は福島県(4㌶)、第2位は山形県(1・7㌶)となっており、第3位以降の記載はない。嶺鳳における全国の栽培面積は89・4㌶(全国で13位)であるので、それと比べれば極めて希少な品種であるといえる。筆者は和歌山県内の産直市場で購入。わずかながら和歌山県でも栽培されているようだ。
東北地方を中心に栽培される品種でありながら、遠く離れた和歌山の地に取り入れ、栽培が始められている品種。見つけるのは難しいかもしれないが、来シーズンにぜひご賞味いただきたい。
(次田尚弘/和歌山市)