長谷川義史さんと給食 宮小で絵本ライブ

友人と向かい合っておしゃべりしながら食べる給食――。そんな当たり前の日常がコロナ禍で一変し、今も小学校では児童が黒板の方を向き、黙食している。和歌山市秋月の市立宮小学校(田中いずみ校長)では、少しでも楽しい給食の時間を過ごせるよう、2020年秋ごろから月に2回程度「絵本給食」を開催。21日には、特別ゲストに絵本作家の長谷川義史さん(61)を迎え、絵本の世界とともに楽しい給食のひとときを過ごした。

絵本給食とは、同校の司書教諭、上田嵩博さんが選書し、栄養教諭の吉永文恵さんと相談しながら作品に登場する料理を自校給食で再現する試みのこと。ICTを活用し、児童らは各教室で絵本の読み聞かせを映像で見ながら、再現された料理を味わう。

この日の給食は、長谷川さんの絵本『まんぷくでぇす』に登場する「お子様ランチ」を給食風にアレンジした献立で、児童らは「めちゃくちゃおいしい」と大喜びしながら味わった。

1年生の太田彩月(さつき)さん(7)は「ずっと早くこの日になったらいいなと楽しみにしていた」とにっこり。児童らは、作者の長谷川さん自らが読む同作の世界に引き込まれていった。

給食後は長谷川さんが『たこやきのたこさぶろう』や『おへそのあな』などの絵本を読み聞かせたり、ウクレレを弾きながら歌ったりする絵本ライブが開かれ、会場は瞬く間に〝長谷川ワールド〟に。長谷川さんが絵を描きながら読み聞かせるというライブならではの演出もあり、児童らは歓声を上げて盛り上がった。

長谷川さんは幼い頃から絵を描くのが好きだったといい、「みんなもやりたいことを早くから見つけて、得意なこと、誰にも負けないことをやり続けてください」と笑顔。自身初の絵本『おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん』をユーモアたっぷりに朗読し、「ひいひいひいひい…おじいちゃんからつながってきた命は奇跡的なこと。誰につないでいくんかな」と同作に込めた思いも伝えた。

最後は沖縄の小学生、安里有生さんが書いた詩に長谷川さんが絵を描いた『へいわってすてきだね』という絵本を朗読。「命はとても大切。あんなおろかな戦争はしたらあかん」と訴え、児童らは大きな拍手で感謝を伝えた。

 

絵を描きながら物語を話す長谷川さん

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