六十谷水管橋の対策 和歌山市が意見公募

和歌山市の六十谷水管橋が崩落し、大規模な断水が発生した問題を受け、市は紀の川北部地域への送水管の複線化や新浄水場建設の検討案をまとめ、市民から意見を募集するパブリックコメントを実施している。

市は、送水ルートの複線化のみと、複線化に加えて新たな浄水場を建設する2案を示している。

複線化のみの場合の事業費は約25億円。23年度に着工し、27年度に完成する。紀の川の北側に浄水場も建設する場合、事業費は約260億円になると試算。浄水場は28年度に着工、38年度に完成するとしている。

市の水道事業は、事業費負担を料金収入でまかなう「独立採算」。1998年に水道料金を19・25%値上げして以来、4年ごとに水道料金の適正化を検証した上で料金を据え置いてきた。人口減と節水による水の使用量の減少や、高度成長期に整備された水道管が更新時期を迎えたことで費用もかさみ、事業収入が毎年約1億円減り続けている。24年度には赤字が生じる見込みで、38年度には約140億円の累積資金不足となるため、解消には25年~28年度で水道料金を約15・7%上げる必要があるとされる。

これら値上げの見通しに対策事業費が加わることになる。試算によると、複線化のみで、現行の水道料金に25~38年度で平均約1・2%、浄水場も建設した場合で平均約6%の上乗せとなり、最大22・5%値上げになるとされる。

課の担当者は、「財源の実情を市民に知ってもらい、水道ビジョンの実現に向けて市民に理解を得たい」と呼び掛けている。寄せられた意見について11月の有識者による検討会議で議論するという。

検討案は市のホームページで公開している。意見公募は、11月4日まで市水道企画課に郵送またはメール、ファクス(suidokikaku@city.wakayama.lg.jp、FAX073・435・1369)で受け付ける。問い合わせは同課(℡073・435・1127)。

 

復旧工事では、鳥ふんなどの付着物が滞留しないように工夫も施された=六十谷水管橋

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