心癒やす音色 なるコミの三線サークル

地域住民のためのコミュニティー施設「なるコミ」(和歌山市鳴神)で月に2回、沖縄音楽には欠かせない弦楽器・三線(さんしん)のサークルが開かれている。「マイペースで楽しく」をモットーに50代から80代までの12人が参加。経験年数や技術の異なるメンバーが一緒に音を奏でている。

 

発起人の角谷さん㊧と辻さん

 

講師がいない教室

2020年にスタートした同サークルには現在12人が所属。講師が存在せず、早く始めた人が初心者に教えていく。それぞれ好きな曲を弾き、最後にみんなで1曲演奏し、終了。太鼓や笛も登場し、三線が弾けなくても踊りや掛け声で参加できる。

サークルの発起人は、三線教室に通っていた角谷鈴代さん(65)。「教室に通う人には、うまくなりたいと習う人と、楽しみたい人がいる。上達したい人は厳しく教えられても頑張れるけど、楽しみたい人は嫌になる。これをやってと押し付けるのではなく、自分のやりたいことを好きなペースでやっていくのが一番楽しめる」と同じ教室に通う4人とサークルを立ち上げた。

哀愁の中に楽しさ

角谷さんが三線を始めたのは6年前。次女を亡くした悲しみから家に閉じこもっていたとき、「沖縄音楽やってみない?」と友人に勧められたのがきっかけ。教室に通い、音に癒やされ少しずつ元気を取り戻していったという。

メンバーの辻早保子さん(56)は、親の介護とダウン症の子どもの世話に追われ、心も体も疲れていた時、ふと流れてきた三線の音を聞き、涙が止まらなくなったのが始めるきっかけ。毎日練習はできないが、弾くのは楽しく、少しずつ上達しているという。

三線を始めて1年の向井廣子さん(81)は、「80歳まで楽器を弾いたことがなく、ドの音からスタートした」という。この日は田端義夫がカバーして全国的に有名になった沖縄民謡「安里屋ユンタ」を練習していた。「沖縄音楽は、哀愁の中に楽しさがあっていい」と話す。

選曲は自由

弾く曲は、角谷さんが選んだ譜面の中からそれぞれ好きな曲を選ぶ。初心者は童謡の「ふるさと」からスタートし、沖縄民謡や、ポップスなども取り入れている。この日のラストソングは「島人ぬ宝」(しまんちゅぬたから)」。5人が弾く三線と、角谷さんが合間に入れる太鼓や笛、メンバーの掛け声で室内は沖縄のような暖かい空気に包まれた。

初心者でも楽しめる三線サークルは毎月第1と3土曜日午後2時半から4時半まで、なるコミで開かれている。参加費は100円。問い合わせは同施設(℡073・471・1162)。

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