利便性向上へ 和大等でカーシェア実証実験

トヨタカローラ和歌山㈱(和歌山市和歌浦東、西川直人代表取締役社長)は、和歌山大学と和歌山信愛女子短期大学の学生・教職員を対象に、トヨタコネクティッド㈱の新たなシェアリングの仕組みを活用した実証実験を開始した。トヨタカローラ和歌山㈱の横山幸平代表取締役専務は「学生が新たなカーシェアリングという仕組みを通して、中心市街地に足を運んだり、移動の楽しみを実感したりしてもらえれば」と期待している。

カーシェアリングの実証実験は、和歌山市版MaaS(マース)への発展を視野に入れた取り組みの一つ。同社や和歌山大学らが参加し、3月に設立した「和歌山市MaaS協議会」が「研究だけでなく形になるものを」との思いで企画した。

MaaSとはモビリティ・アズ・ア・サービスの略で、バスや電車など、全ての交通手段による移動の継ぎ目をなくし、一つのサービスとして完結させて移動の利便性を高めるサービスのことを指す。

実験により、交通手段の限られた学生が原付バイクや自家用車に代わる新しいエコロジカルな移動手段を利用し、交通利便性の向上や地域活動の拡大といった効果を検証するのが目的。

実証実験の実施に際し、同社と同大は共同研究契約を締結。和歌山自動車㈱の協力で、同大南1号館の玄関付近に200Vの充電設備を二つ新設し、シェアカーとして「AQUA(アクア)」と超小型BEVの「C+pod(シーポッド)」を各1台ずつ配置した。実証実験は来年1月31日まで。期間中はアンケートに答えれば無料で借りられる。

12日には同大でプレス発表会が開かれ、惠下隆副学長が「来年度の本格実施に向けて、取り組みを広めていきたい」とあいさつ。芦田昌也経済学部長は「学生は想像を超える活用方法を見いだしてくれるのでは」と期待し、「無事故・無違反でこの実証実験を終えられることを願う」と話した。

事故を未然に防ぐため、三井住友海上火災保険㈱のグループ会社でリスクコンサルティングを専門に行うMS&ADインターリスク総研㈱が学内の交通リスクなどを調査。同大にアドバイスするなど、さまざまな企業が和歌山市版MaaSへの発展を目指し、取り組んでいる。

13、14日には同大で学生と教職員への説明会が開かれ、スマートフォンのアプリで簡単にできる予約方法や、車両予約、利用当日の流れなどをレクチャーした。今後、利用動向や満足度、周辺地域との交流促進などに関するデータを収集・分析し、サービス改善策などを検討して本格展開につなげていくという。

プレス発表会に出席した皆さん

プレス発表会に出席した皆さん

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