歴史学者の小山さんらに 和歌山市文化表彰

和歌山市の文化向上、発展に功績のある個人・団体に贈られる2022年度市文化表彰の表彰式が27日、七番丁の和歌山城ホールであり、尾花正啓市長から受賞者に表彰状と徽章(メダル)、副賞が贈られた。

1982年度から行われ、今回で41回目。特に顕著な功績を残した人に贈られる文化賞には、御坊市出身の歴史学者の小山譽城(よしき)さん(72)=和歌山市=、文化功労賞に作家の有吉玉青(たまお)さん(59)=東京都=、和歌山市の洋画家・岡﨑由美子さん(78)、文化奨励賞に市出身で補綴家(台本の作成、編集者)、ドラマトゥルク(ドラマの作り手)として活動する木ノ下裕一さん(37)=京都市=、和歌山フラメンコ協会(森久美子会長)が選ばれた。

小山さんは國學院大學大学院修士課程を修了し、県立学校の教員となった。大学在学中から徳川御三家の付家老の研究を続け、県古文書調査員、自治体史の編さん委員などを務める。独自の視点から付家老の研究に切り込み、研究成果を書籍や講演などで発表。歴史学の発展に大きく貢献した。

有吉さんは同市出身の作家、有吉佐和子の長女。小説やエッセーを多数出版し、日本舞踊劇台本、長唄の作詞も手掛ける。現在は大阪芸術大学の教授を務め、文学創作を指導。有吉佐和子文庫、わかやま歴史館、有吉佐和子記念館に母の遺品を多く寄贈し、文化振興や観光事業の向上発展に尽力している。

岡﨑さんは和歌山大学教育学部を卒業後、市立小・中・高校で美術科教員を務め、退職後は和歌山信愛女子短期大学等で幼児造形教育に携わった。地域文化活動にも積極的に貢献し、多くの生涯学習関連イベントで講師を務めるなど、地域の文化芸術の振興や育成に尽力している。

木ノ下さんは2006年に歌舞伎演目上演の補綴・監修を自らが行う「木ノ下歌舞伎」を旗揚げ。歴史的文脈を踏まえつつ、コンテンポラリーダンスやラップを取り入れるなど、歌舞伎演目を「現代の演劇」として上演。古典芸能に関する執筆も多く手掛け、伝統芸能のファン層を拡大している。

和歌山フラメンコ協会は2001年に設立。毎年「フラメンコの祭典inポルトヨーロッパ」を開き、紀州おどり「ぶんだら節」にも参加。「侍フラメンコ~吉宗~」「伝説ふらめんこ舞舞台~住蛇が池~」など、フラメンコに和楽器、和歌山の偉人や伝説を結び付けて表現し、地域の伝統文化の継承にも寄与している。

式典で尾花市長は「新型コロナの長期化で、人々がさまざまな困難や不安を抱える中、私たちに安らぎや感動を与えてくれる文化芸術は、心豊かな生活を実現していく上でますます重要性を増している」と受賞者を激励。

受賞者を代表して小山さんが「私たちの活動が和歌山市の発展のために大いに貢献できるよう、一層努力していきたい」と今後の抱負を述べた。

 

表彰状を手に(左から)岡﨑さん、小山さん、有吉さん、森会長

 

木ノ下裕一さん ©東直子

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