災害時の外国人支援 遠隔通訳など対応訓練

和歌山県国際交流センターは12日、災害発生時に外国人の被災者を支援できるよう、避難所巡回訓練を和歌山ビッグ愛(和歌山市手平)と上富田文化会館(上富田町朝来)の2会場で実施。県や市町村職員ら46人が外国人被災者のニーズを収集できるよう取り組んだ。

県によると、県内の在留外国人は、2022年6月現在で7619人。年々増加傾向にあるが、日本の災害事情や防災についての知識が少ない外国人もいる。訓練では、災害時に情報弱者になりやすい外国人を支援できるよう、避難所の設営や運営を担う県の各振興局や市町村職員らを対象に実施。19年度から年1回行っており、今回で4回目となる。

同日、訓練は県南方沖を震源とする巨大地震が発生したとの想定で、避難所巡回の訓練を開始。

和歌山ビッグ愛では、コートジボワール、ナイジェリア、スロベニア共和国、フィリピン出身の外国人4人が避難所に来たと想定し、聞き取り調査を行った。

訓練に参加した職員らは「避難所」を「逃げる所」など、分かりやすい日本語に言い換えたり、翻訳アプリや指差しボードを使ったりしながら、ゆっくりと聞き取りやすいスピードで質問。被災者が必要としている情報を伝えた他、アレルギーや宗教上の理由で食べられない食材の有無などを確認した。

講師を務めたクレア地域国際化推進アドバイザーの松本義弘さんは「どんどん話し掛けて」と呼び掛け、「積極的なコミュニケーションで、心に寄り添うことが相手の安心につながる」とアドバイス。

会話での意思疎通が難しい場合は、災害発生時に外国人の被災者に対応する「県災害時多言語支援センター」にオンラインでつなぎ、遠隔通訳を活用することで円滑なサポートができることも学んだ。

訓練に参加したコートジボワール出身で県立医科大学に通うマギーさん(34)は「初めて参加したが、とても良い取り組みだと思う。知りたい情報ももらえるし、話すだけで安心感がある」と英語で話した。

訓練に参加した和歌山市総合防災課の吉川拓弥副主査(35)は「伝えたいことが伝わらないなど意思疎通が難しい点などもあった。この経験を生かし、今後どのようにサポートしていけば良いか、さらに考えていきたい」と話していた。

コミュニケーションを取りながら、質問をする訓練参加者㊧

コミュニケーションを取りながら、質問をする訓練参加者㊧

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧