熟成させ甘み凝縮 蔵出しみかん出荷開始

和歌山県の海南市下津町で作られるブランドミカン「蔵出ししもつみかん」の出荷が始まり、北海道や東京、京阪神など2月下旬まで各地に出荷される。

蔵出しみかんは、温州みかんの晩生(おくて)を特製の木箱に入れ、木造土壁の蔵で寝かせたもの。寝かすことで、水分が抜け糖度が凝縮、味が濃くまろやかになるという。同町のミカン農家は800軒以上あり、各農家が蔵を持つ。

同町引尾で先祖代々のミカン園を営む岡畑光顕さん(48)の蔵では、昨年12月始めに収穫した晩生ミカン「青島温州」「大津四号」、「林温州」など、約8㌧を貯蔵している。

蔵内の温度を8度、湿度を85%に保ち、空気を入れ替え木箱を一つずつチェックしながら品質管理を行い、丹精込めて熟成させる。

岡畑さんの畑で今期収穫されたミカンは大玉傾向だといい、「口当たりが良くまろやか、深みのある味に仕上がっている」と話す。岡畑さんは「晩生はM、Lサイズがおいしい。このミカンを食べてくれる人に、おいしいなと思ってもらえたらうれしい」と話している。

下津町全体では、JAながみね撰果場の年明けのミカン出荷量は約3500㌧で前年比の115%だとし、地域ブランド協議会の岡畑浩二会長(62)によると、外皮もきれいで皮や袋が薄く、食味のいいミカンに仕上がっているという。

同地域は、2019年2月に「下津蔵出しみかんシステム」として日本農業遺産に認定され、今月17日には「有田・下津地域の石積み階段園みかんシステム」の世界農業遺産への認定申請が、農林水産省に承認されている。

 

ミカンの品質を管理する岡畑さん

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧