地元で働く魅力伝える 貴志中で未来スクール

さまざまな業種の大人たちが子どもに地元で働くことの楽しさを伝える「未来スクール」の出張授業が24日、和歌山市梅原の貴志中学校で開かれ、2年生218人が参加。県内で活躍する14社の「一日先生」から仕事の魅力や、やりがいなどを学んだ。

同スクールは、県内の企業約70社で構成。子どもたちの学ぶ意欲や働く意欲、未来への希望を育み、社会を生き抜く力を身に付けてもらおうと、2014年に始まった。中学2年生を対象とした出張型未来スクールには、これまでに7校635人が参加。コロナ禍で職場体験授業が3年連続で中止となる中、生徒にとって地域で働く大人と交流できる貴重な機会となっている。

この日、飲食業、サービス業、ホテル業、医業、冠婚葬祭業などの経営者らが「一日先生」として同校に出張。

市内や大阪などで江戸前回転鮨「弥一」を5店舗展開する㈱ウイルバーン商事の授業では、手巻きずしと細巻き作りに挑戦した。生徒は巻きすにのりと酢めし、サーモンや卵、イクラなどの好きな具材を乗せ、「巻くのが難しい」と苦戦。同社のすし職人から「見た目をきれいに盛り付けることも大事」とプロの技を学んだ。

同スクールでは「子どもたちの好奇心に火をつける」をモットーに、授業を展開。身近な飲食業の魅力にふれた生徒からは「弥一の由来は何」「修行はどこでしたのか」「魚はどこから仕入れるのか」などと積極的に質問が寄せられた。

最後に、人生の先輩として同社の山口勇人代表取締役は「世の中は人で動いている。しっかり人と関わりましょう」とアドバイス。生徒たちは、真剣な表情で聞き、未来への夢を膨らませた。

出張授業を受けた赤津晴哉さんは「元々職人の仕事に興味があり、授業ではより深めることができた。未来の自分の姿が明確になった」と笑顔。

同スクールの山本理恵実行委員長は「今の子どもたちは本気で生きる大人との出会いを求めている。行政、企業、地域などが一緒になってつくる新しい教育『和歌山モデル』の仕組みを構築していきたい」と話していた。

職人からすし作りを学ぶ生徒

職人からすし作りを学ぶ生徒

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