海南の歴史演劇で 「鈴木家の一族」盛況

3月に和歌山県海南市の藤白神社境内に復元完成する「鈴木屋敷」を題材にした創作コメディー「鈴木家の一族」がこのほど同市且来のすわん江戸村で上演され、会場は笑い声に包まれ盛況に終わった。

同劇団では、団員それぞれの誕生日に、本人が企画提案した特別公演を行っている。今回は、昨年10月31日に誕生日を迎えた市川太仁志(たにし)さん(36)が、同市にまつわる藤白鈴木の歴史を広めたいと鈴木屋敷を題材に決め、脚本や演出、プロデュースに至るまでを手掛けた。

物語は、太仁志さん演じる主人公の鈴木許八(もとはち)は、鈴木家の次期当主だが後を継ぐ気が全くない。こっそり外出しては、ばくちにのめり込む日々を送っていた。

そんな許八の行動に頭を悩ませていた、父親で当主の鈴木重慶(しげひろ)とその兄、鈴木重房(しげふさ)は、重慶がいなくなったことにすれば許八が継ぐ決意をするのではと、作戦を立て実行することに。しかし、計画を聞いた町娘の勘違いで町民を巻き込んだ大騒動に発展してしまう――というストーリー。

公演を終え、太仁志さんは、企画立案から温めてきた舞台の成功に感謝。「見る人に思いが届くかと不安だったが公演後にお客さまから楽しかったなどとコメントを頂き感無量。師匠や先輩方の助言をいただきやり遂げることができた」と振り返った。

和歌山市内から観劇に来た50代の女性は「面白くて笑った。藤白神社が鈴木さんの発祥ということも楽しみながら知ることができた」と笑顔。太仁志さんは、「多くの人に海南市の歴史を知ってもらうと同時に、演劇文化をもっと広めるため精進していきたい」と話した。

演者同士の掛け合いの面白さも光った舞台

演者同士の掛け合いの面白さも光った舞台