つつじが丘全区画完売 一条工務店に一括譲渡

和歌山市は7日、市が造成、販売してきた分譲住宅地「スカイタウンつつじが丘」の残り区画を、大手ハウスメーカーの㈱一条工務店(東京都江東区)に一括売却する仮契約を締結したと発表した。1998年4月の分譲開始以来、25年にして全区画が完売となる。市と同社は基本協定を結び、大規模災害に備えた高台確保など、事前復興の取り組みでも協力を進める。

市によると、スカイタウンつつじが丘は、市北西部の丘陵地約65万平方㍍を開発し、697区画(うち販売対象680区画)で分譲を開始。販売は伸び悩み、事業費を管理する市の土地造成事業特別会計は赤字が続き、2010~18年度には毎年約13億円を一般会計から繰り入れていた。

今回、一括売却が決まったのは、宅地237区画・約4万3000平方㍍、大規模用地4区画・約1万7000平方㍍の計約6万平方㍍。譲渡価格は一般個人への販売と同じ条件(平均坪単価13万1000円)で、計14億3265万6000円となっている。今月3日に基本協定と土地売買の仮契約を締結しており、2月市議会での議決を経て、本契約の成立となる。

同特別会計の累積赤字は、21年度決算で約15億7000万円だが、今回の一括売却により、22年度決算では約3億4000万円まで縮減される見通し。

一条工務店は、水害などのリスクから安全性の高い住宅地として、取得した区画の販売を進める。全国に販売網を持つ同社により、従来よりも広域的な移住・定住につながることが期待される。

大規模用地については、当面は分譲などを行わないとしており、市と協力の上、津波などの大規模災害を想定した防災への活用、市が策定を進めている事前復興計画と連動した取り組みへの活用などを検討していく。

尾花正啓市長は7日の定例記者会見で、「懸案だった全区画の売却が実現し、移住・定住につながる。財政の健全化にもなる。より広域から、ここに移り住んでもらいたい」と期待を話した。

全区画の完売を発表する尾花市長

全区画の完売を発表する尾花市長

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