交流発展へ覚書更新 県とマハラシュトラ州

和歌山県とインド・マハラシュトラ州は3日、観光や経済、文化など多様な分野で交流を促進する覚書を更新した。インドを訪問した岸本周平知事が、同州のシンデ・エクナート首相と共に州都ムンバイで調印。県レスリング協会と州スポーツ青少年活動総局との間でも新たに覚書を交わした。最初の覚書締結から10年を迎えた両県州の関係は、さらに分野を広げ、発展が期待される。

同州は、アジャンタ石窟をはじめとする世界遺産の遺跡群やインド有数の金融経済都市ムンバイなどを擁し、2013年10月に県と覚書を締結。今回が18年1月以来、2回目の更新となった。

当初の覚書は観光と食品加工分野に関する内容だったが、1回目の更新などを経て交流分野は次第に拡大。高野山大学(高野町)にインド憲法の起草者で初代法相のビームラーオ・アンベードカル博士を顕彰する碑が建立され、同州の大学と高野山大が交流協定を結ぶなど、学術、文化面の交流も積み重ねられてきた。

岸本知事は今回、1~7日の日程でインドを訪問。訪印団には、県内事業者や県レスリング協会関係者らを合わせて約60人が参加した。

両県州の覚書更新の調印式は、州の入り口といわれる世界的観光地「インド門」で盛大に行われ、岸本知事らは、州からエクナート首相とデヴェンドラ・ファドナヴィス副首相の両方が出席する手厚い歓迎を受けた。

県側も、県相撲連盟から参加した県庁や松源の相撲部が、まわし姿で土俵入りやぶつかり稽古などのデモンストレーションを披露し、大きな拍手を受けた。

エクナート首相は、これまで培ってきた10年間の関係に感謝の意を述べ、さまざまな分野で交流を促進していくことを確認。公的な演説は通常、州の公用語であるマラティ語で行うが、調印式での演説の後半では、訪問団により分かりやすく思いが伝わるよう、敬意を表して英語で語った。

岸本知事は、ヒンズー教のシバ神は大黒天、クリシュナ神は勧喜天として日本でも信仰されていることを紹介し、さらなる日印友好の推進への意欲を話した。

調印式前日の2日には、ムンバイ市内の州のゲストハウスで、県レスリング協会と州スポーツ青少年活動総局の覚書締結式が行われた。

同協会からは、高校生、大学生ら選手と指導者ら約30人が訪問団に参加し、州内のトレーニング施設で州の選手と合宿で交流してきた。

締結式には岸本知事、マハジャン・ギリーシュ州スポーツ青少年福祉大臣が立ち合い、同協会の木村亘会長と同総局のスハス・ディワセ長官が覚書に署名。両者は、選手のトレーニングや技術支援などで双方向の交流を強化、推進していくことで合意した。

また、県内企業とインド企業とのビジネスマッチングなども行われ、さまざまな分野で今後の発展の種をまき、交流の成果が得られたインド訪問となった。

 

覚書を更新した岸本知事(左から2人目)とエクナート首相(同3人目)(県提供)

関連記事

同じカテゴリのニュース一覧