WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

羊羹のような食感「あんぽ柿」

前号では、甘さが抜群の「干し柿」の作り方を取り上げた。干し柿と似た存在でおいしく食べることができる「あんぽ柿」。今週はあんぽ柿について紹介したい。
あんぽ柿は鮮やかなオレンジ色が特徴。干し柿に似ているが製造工程が異なる。発祥の地は福島県とされ、柿を天日で乾燥させる「天干し柿(あまぼしがき)」が変化して現在の名になったとされる。
干し柿との違いは、硫黄を使い燻蒸(くんじょう)し乾燥させる点。燻蒸とは薬剤で燻(いぶ)すことをいう。これはアメリカで干しぶどうを作る際に用いる工程を参考に取り入れられたもの。硫黄を使用しているが柿を乾燥させる際に揮発するため成分が残留することはない。
乾燥させる際も干し柿は30%程度の含水率で仕上げるのに対し、あんぽ柿は約50%となっており、しっとりとした食感が残るよう工夫されている。
あんぽ柿に使われる柿は、以前取り上げた「平核無柿(ひらたねなしがき)」や「蜂屋柿(はちやがき)」。筆者が和歌山県内で購入したあんぽ柿は、平核無柿を使ったものであった。生産と出荷の最盛期は11月から翌2月にかけて。東北では降雪で畑に出られない農閑期の収入源となっている。
食し方はさまざま。販売されているまま食し、まるで羊羹のような食感と甘さを感じるのが一般的であるが、別の食材とアレンジして食べることもお薦め。マフィンなどの菓子にトッピングする方法や、生ハムやチーズと一緒におつまみにすることができる。
柿のシーズンが終わったあとも、その旨さの余韻を楽しむことができるあんぽ柿。ぜひ、さまざまな料理にアレンジし楽しんでほしい。(次田尚弘/和歌山市)