未来へ希望込め 貴志川線にウォールアート

和歌山電鐵貴志川線の西山口駅のホームに1日、地元の中高生が合同制作した夢や希望にあふれたウォールアートが登場し、駅の利用客や線路越しに行き交う人の目を楽しませている。

描いたのは、紀の川市貴志川町の県立貴志川高校と、市立貴志川中学校の美術部の生徒ら約15人。「地元のまちを元気にしたい」という共通の思いから、ことし初めてそれぞれの学校の地域連携協議会が合同になり、初のプロジェクトとして取り組んできた。

生徒らは昨年秋ごろから制作を始め、下地作りや下描き、ペイント、修正など、約半年かけて各校がそれぞれ1作品ずつ、計2作品を完成させた。絵は和歌山電鐵㈱と「貴志川線の未来を〝つくる〟会」が取り付け、この日行われた除幕式でお披露目された。

高校生の絵には、たま駅長が虹色の紙飛行機に乗って明るい未来へ向かっていく様子を見上げている、2人の男女が描かれている。

過去から現在、そして未来に向かって旅をしているところをイメージしたといい、貴志川高校美術部部長の石原知輝さん(18)は「生徒、貴志川線、地域がつながるように願いを込めた。この作品を目にし、温かい気持ちになってくれるとうれしい」と話した。

中学生は「何十年たってもこの町の駅や電車の存在がみんなの心の中で色あせないように」と願い、子どもとたま駅長が向き合う背景に走り続ける電車を描いた。

貴志川中学校美術部3年の若林慶さん(15)は「毎日ここの前を通るのが楽しみになった」とにっこり。「色も少ない駅だったので、この絵を見て明るいまちという印象を抱いてもらえれば」と話した。

同会の木村幹生代表(75)は、かつては朝のラッシュ時に50人ほどが並ぶ駅だったと回顧。絵を見ながら「若い人の力が心強い」と目を細め、同社の麻生剛史総務企画部長と共に「殺風景だった駅が、地域の人たちの心遣いが感じられる温かい駅になっていく」と喜んだ。

完成を喜ぶ美術部員たち

完成を喜ぶ美術部員たち

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