岡本玲さん主演 「茶飲友達」舞台あいさつ

和歌山市出身の俳優、岡本玲さん(31)が主演を務めた映画『茶飲友達』の公開初日となった10日、同市松江のジストシネマ和歌山で、岡本さんと外山文治監督が舞台あいさつを行った。岡本さんの主演映画が和歌山で公開されるのは初めて。「どうしても初日に和歌山で舞台あいさつがしたいと思って来ました。たくさんの人に見てもらえてうれしい」と笑顔の岡本さんに、満席の会場から大きな拍手が送られた。

映画『茶飲友達』は、2013年に報道された高齢者売春クラブ摘発事件に着想を得て生まれた社会派群像劇。超高齢化社会の現代日本が抱える閉塞感や寂しさなど、さまざまな問題を描いている。外山監督が脚本も担当した。

岡本さんが演じるのは高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」のリーダー。自身も心に傷を持ちながら、高齢者には娘のような屈託のない笑顔で話し掛け、運営仲間の若者たちには正義を示しながら、時に元締めとしての存在感を見せつけ、一団を引っ張っていく。

今回の出演は和歌山がつないだ縁だったと2人は言う。外山監督は2020年に、和歌山を舞台に男女の切ない逃避行を描いた映画『ソワレ』を製作。岡本さんは和歌山で撮られた映画に興味を持ち、作品を見て感動。「外山監督の作品に出たい」と、次回作のワークショップ・オーディションを受けたという。外山監督は岡本さんの起用について「当時は映画女優という認識はなかったが、光っていた。一緒に映画を撮ってみたいと思った」と話した。

岡本さんは12歳でデビューし、ことし芸能生活20年を迎える。今回の映画の内容を聞いて初めは驚いたそうで「私は祖父母と暮らしていたので、地域のおじいさん、おばあさんと交流があり、高齢者が身近な存在。そういう方たちの性を描いた作品に興味もあった。そこに等身大の自分が抱えている孤独、閉塞感がどう合わさって化学変化していくんだろう」と感じたという。

今回の作品で「今までにない、舞台のような岡本玲を撮りたい」と撮影に挑んだという外山監督。岡本さんは「必死で全力で楽しんだ。出し惜しみせず、当時のリアルな等身大を全てぶつけた」と振り返った。

同作には和歌山市のバイクメーカーglafit(グラフィット)の電動ハイブリッドバイクも登場する。今の若者の空気感を表すのに必要だという監督のアイデアだという。

前作で撮影した御坊市の紀州鉄道や、煙樹ヶ浜の朝焼けなど、和歌山には忘れられない良い思い出が多く、第二の故郷だと感じているという外山監督は「全世代が見て共感できるポイントがいくつもあるので和歌山の幅広い世代の人に見てほしい」とPR。

岡本さんは「見る人によって、感じるものが全く違う面白い作品だと思う。見終わった後、感じたものを誰かと共有してほしい。話すきっかけになってくれたらいいなと思う」と笑顔で話した。

映画はジストシネマ和歌山で公開中。

舞台あいさつをする岡本さん㊧と外山監督

舞台あいさつをする岡本さん㊧と外山監督

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