WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

栽培方法に工夫も「さちのか」

前号では、いちごのシーズンの到来を告げる「とちおとめ」を取り上げた。今週は12月ごろから店頭に並ぶ「さちのか」を紹介したい。
さちのかは、農水省野菜茶業試験場久留米支場で育成された品種。食味と香りに優れた「とよのか」と、果実が大きく着色に優れた「アイベリー」を交配。2000年に品種登録されている。
果皮の色は濃い赤色をしており、果形は長円錐で、果実の大きさは大きめ。果肉は硬めであることから、輸送性に優れ、日持ちも良い。香りが強いものの穏やかな酸味で、甘みとのバランスがよく、おいしくいただける。果肉は淡紅色で中央部分も淡赤色をしている。熟しすぎると黒ずんだ赤色になる黒変が起きるため、日持ちは良いものの早めに食べるか、ジャムやピューレにするのがよい。
さちのかの特徴はビタミンCが豊富であること。100㌘あたりの含有量が約80㍉㌘で、他のいちごと比べて多いとされる。健康志向の方にはお薦めの品種である。
収穫期は12月ごろから翌年5月ごろまで。最盛期は2月から3月にかけて。栽培は長崎県や佐賀県など九州地方が多いが、和歌山県内をはじめ全国各地で栽培され、スーパーなどで広く販売されている。
さちのかを使い、栽培方法を工夫し、新たな名前で販売している例がある。千葉県では、土壌の農薬や化学肥料に残留する有害物質を減らし、有用な微生物を活性化することができる、ステビア濃縮エキスを用いて栽培する「ステビア農法」が取り入れられ、「紅つやか」の名で販売されている。黒変を抑えることができ、着色を良くする効果があるなど、栽培方法の工夫により、高付加価値のいちご作りが行われている。
店頭で目にすることが多いさちのか。ぜひ、ご賞味いただきたい。
(次田尚弘/和歌山市)