WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

山梨生まれ「星の煌めき」

前号では、露地栽培可能な都会生まれの新品種「東京おひさまベリー」を取り上げた。今週は、筆者が東京おひさまベリーを購入した有田川町の産直市場で並んで販売されていた珍しい品種「星の煌(きら)めき」を紹介したい。
星の煌めきは、山梨県に本社を置く苗の生産業者が開発したいちごで、2017年に誕生した。生産地である北杜市(ほくとし)は八ヶ岳をはじめ山岳の景観に優れ、星空が非常に美しいことから、この名前が付けられたという。
果実は艶のある濃い赤色。断面も内側にかけて赤色が広がり、中央部までしっかりと実が詰まっている。香りも良く、十分な硬さもある。食してみると甘味と酸味のバランスが良くコクがあり、おいしくいただくことができる。栽培地域に制限はなく全国各地で栽培が進んでおり、今後の拡販が期待される。
これまで11週にわたり、県内で栽培され筆者が購入した9種類のいちごを取り上げてきた。「とちおとめ」や「さちのか」など歴史がある品種に加え、2000年代に入ってから開発された新品種が多数登場している。栽培施設が不要で露地栽培できる品種は家庭菜園など個人が庭やベランダで栽培できる機会をつくり、四季成りの品種は季節に関係なく収穫が期待できるなど、いちごを取り巻く環境が変化している。
和歌山県は全国比の栽培面積が1%程度と、いちごの一大産地ではないが「まりひめ」をはじめ、県のオリジナル品種は見た目、食味ともに優れ、全国に誇れるもの。
全国への出荷は、いちごの鮮度維持が重要でまだまだ課題は多いが、今後はこの味を求め、いちご狩りなどの体験を通し、足を運んでもらうアグリツーリズムなどが期待される。
果物王国である和歌山県にとって、いちごも地域資源の一つ。まずは私たち県民がその魅力にふれ、全国に発信していきたい。
(次田尚弘/和歌山市)