2人が依然行方不明 台風2号爪痕大きく

台風2号の影響で2日から3日にかけて降った大雨による和歌山県内の被害は大きく、2人が依然として行方不明のため、捜索活動が続いている。県が4日に発表したまとめによると、重軽傷が2人、住宅の浸水被害が174棟などで、大規模かつ広範囲に及んでいる。JR和歌山線、南海電鉄高野線では5日も、土砂崩れなどに伴う一部区間の運休が続いている。

人的被害はいずれも2日午後に発生。紀の川市中鞆渕で真国川に流された70代男性と、紀美野町釜滝で冠水した道路を車で渡ろうとして立ち往生し、車外に出て真国川に流された女性の行方がまだ分かっていない。

新宮市徐福では、避難先の宿泊施設前で風にあおられて転倒した80代女性が股関節骨折の重傷、かつらぎ町中飯降では、陥没した道路に車ごと落ち込んだ1人が軽傷を負った。

住宅の被害は、九度山町東郷と高野町南で全壊が各1棟、有田川町北野川で半壊が1棟、同所と湯浅町湯浅で一部破損が各1棟発生。浸水被害は紀の川市、橋本市、紀美野町、かつらぎ町、印南町、九度山町、広川町、高野町、湯浅町、有田川町、由良町の11市町に及び、床上浸水26棟、床下浸水148棟となっている。

県内の鉄道路線は5日も運休やダイヤの変更が続いた。南海高野線は、高野町や九度山町で発生した線路への土砂流入の対応のため、高野下―高野山間で運転を見合わせ、橋本―高野山間でバスによる代行輸送を実施。特急「こうや」も運休となっている。

JR和歌山線は、高野口駅構内で線路脇の盛り土が崩壊し、電柱が傾くなどの被害が発生。復旧のため4日から1週間程度、橋本―粉河間で運休し、5日からバスによる代行輸送を行っている。

和歌山電鐵貴志川線は、全保有車両(6編成12両)が浸水し、機器類にダメージを受けた車両が4編成8両に及んだ。4日まで終日運休し、5日は運行可能な車両で運転を再開したものの、通常ダイヤの5割程度の本数となり、利用者への影響は続いている。

ライフライン関係では、5日正午時点で県内の約300軒が停電し、内訳は九度山町で約230軒、有田川町で約70軒、紀美野町で10軒未満。田辺市上秋津地区では市道の崩壊に伴う配水管の損傷により、3日朝から夕方にかけて1280戸で断水が発生。給水車2台の出動、給水パックの配給などで対応した。

4日午後3時現在の雨量のまとめによると、1時間の最大雨量は、湯浅町役場で78㍉、有田川町井口で76㍉、有田市糸我で75㍉など。累積雨量は日高川町の小川ダムで518㍉、田辺市大杉で501㍉、新宮市高田で498㍉に達した。

被災した各地では浸水した建物の片付けなどの作業が続き、各自治体で罹災証明書の申請受け付けなども始まった。

 

線路に土砂が流入した高野町内の南海高野線トンネル付近(3日、南海電鉄提供)

 

線路脇の盛り土が崩壊したJR高野口駅(JR西日本提供)

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