片男波の潮干狩り復活へ 和工生ら協力

和歌山市片男波干潟のアサリを増やし、再び潮干狩りでにぎわう場所に――。かつて春になると多くの潮干狩り客が訪れた同干潟で、和歌山工業高校(同市西浜)の化学技術クラブの部員たちは、和歌浦漁業協同組合らと協力し、アサリの保護や生産活動に取り組んでいる。3日にも干潟を訪れ、アサリの成長を願い、稚貝を守る作業を行った。

片男波干潟では2009年以降、エイやツメタガイの食害などによりアサリが減少し、潮干狩りが開催できていない。漁協と市は復活に向けてアサリの保護・育成に取り組んでいる。

同クラブの北谷泰造顧問(64)によると、3年前に生徒たちが干潟を調査したところ、生物の宝庫だと思っていた干潟は、巻き貝ばかりで二枚貝がいないことに驚いたという。和歌浦でアサリが激減していることとつながりがあるのか、干潟全体を調査したいと和歌浦漁協に声をかけて活動が始まった。

観察を続ける中で、アサリの稚貝はいるが、天敵のエイに食べられるなどして育たないことが分かり、稚貝の多い場所を調査。この日は部員4人と、和歌浦漁協の横田邦雄副組合長理事が、砂の中にいる稚貝を砂ごと網の袋に入れた。10㌔の袋500個を干潟に置き、天敵や流出から守っていくという。今後は2週間おきに観察を続け、1㌢ぐらいになるまで成長させ、干潟内にある増殖場に放流。来年春には大きく育つ予定だという。

大西孝佳部長(18)は「100㌔ぐらいのアサリが採れたら成功と言える。自分は潮干狩りをしたことはないけれど、もし実現できれば和歌浦の活性化につながる。アサリを増やして地域を盛り上げたい」と意欲を見せ、同クラブの中村はなみさん(17)は「アサリってこんなところで、こんなふうに大きくなっていくことを初めて知って面白いと思った」と笑顔だった。

 

アサリの保護に取り組む部員ら

 


 

ラーメンで新名物に まずは地元で限定販売

作業の後、部員たちは新和歌浦のおっとっと広場に移動。ことし5月から新名物を目指し販売している「アサリラーメン」を試食した。

アサリでダシを取ったスープに、アサリとワカメが乗った海の香りが漂うラーメンで、春の期間限定メニューで6月末ごろまで提供する予定(土日、祝日)。800円(税込み)。

現在は干潟で数十㌔しか採れない希少なアサリを使っているが、今後、保護や生育活動が成功し、貝毒の検査に問題がなければそれを使う予定。また、地域の小学生らに潮干狩りの体験をしてもらうことも検討しているという。

横田副組合長理事は「アサリを和歌浦の新名物にしたい」と話し、大西部長は「めっちゃおいしかった。和歌浦の飲食店でもアサリを使ったメニューを開発し、名物になってくれるとうれしい」と目を輝かせた。

 

アサリラーメン

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