隈研吾さん設計 和歌山市にシェアオフィス

国立競技場などを手がけた世界的建築家、隈研吾さん(68)が設計・監修したコワーキング・シェアオフィス「ParkBizWAKAYAMA」が23日、和歌山市八番丁のパーク県信ビル内に開設される。隈さんが代表を務める㈱隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)の新拠点も今後、同オフィスに進出予定。新たな交流拠点として期待され、隈さんは「これからの時代、和歌山は日本の中で存在感を増していくと信じている。皆さまと一緒に、和歌山を世界へ発信していきたい」と話した。

同設計事務所は昨年2月、県と地域づくりや産業振興などを目的とした包括連携協定を締結している。

市内で不動産賃貸業を営む、パーク建物㈱(同市堀止東、木綿紀文代表取締役)と、西日本を中心にコワーキングスペースやシェアオフィスを展開、運営する㈱ATOMica(宮崎県宮崎市、嶋田瑞生、南原一輝代表取締役Co-CEO)が協業してコワーキング・シェアオフィスの開設に至った。

1964年竣工の建物を改修し、1階には、一般利用が可能なコワーキングスペースとカフェスペースを設置。従来あったステンドグラスなどを生かし、デスクやソファなどは隈さんが新たにデザインした。コワーキングスペースではイベントの開催が可能で、主に利用者同士の交流を図るコミュニティマネージャーも常駐する。

2階には入居人数に応じた、大小さまざまな14部屋のシェアオフィスが並ぶ。入居者は、隈さんデザインのデスクなどが置かれた共有スペースも利用できる。

シェアオフィスに隈さんの事務所も入る予定。国内の地方都市では北海道、沖縄県に次ぐ3カ所目となり、関西エリアでは初の拠点として、近畿圏を中心としたデザインや設計を行う。

22日には同所でオープニングセレモニーが行われ、隈さんの他、尾花正啓市長、木綿代表、南原代表らが出席。テープカットで祝った。

建物の外装には、日本では極めて珍しい、花こう岩を3㍉にスライスし、繊維で裏打ちをするドイツの新技術を全面的に使用しているという。隈さんは和歌山が持つスピリチュアルな面や文化、自然の豊かさには大きな魅力があると説明。「建築後60年たった建物が良い味を出している。若い人にも好かれるデザインにした」と話した。

南原代表は「公園のような、偶然来ても出会いが生まれる場所にしたい。地元企業と学生のコラボなども考えている」と、今後の交流拠点としての活用に期待を寄せた。

テープカットを行う隈さん(左から2人目)ら

隈さんが手掛けたコワーキングスペース(撮影:今西浩文)

 

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