持ち直しの動き継続 4~6月の県景況調査

和歌山社会経済研究所の景気動向調査で、2023年4~6月期の県内企業の自社景況判断は、「良い」と答えた企業から「悪い」と答えた企業の割合を引いたBSI値は、5期連続上昇のマイナス6・2(前期比1・1㌽上昇)となった。同研究所は、持ち直しの動きが継続し、見通しに関しては一服感が見られると分析している。

調査は県内企業2000社(建設業200、製造業400、商業600、サービス業800)にアンケートで実施し、733社(36・7%)から回答を得た。

4~6月期の景況BSIを産業別にみると、建設業マイナス1・1(前期比1・1㌽下降)、製造業マイナス3・6(同12・2㌽上昇)、商業マイナス16・8(同10・3㌽下降)、サービス業0・0(同5・2㌽上昇)で、業種により景況判断が分かれた。

7~9月期の見通しは、全産業でマイナス5・8とほぼ横ばい。建設業がマイナス6・9に悪化するものの、製造業はマイナス0・6、商業はマイナス15・0に改善を見込み、サービス業はマイナス0・4でほぼ横ばいとなっている。

建設業は、売上高・収益が減少していると回答した事業者が4割強を占める。県内の新築住宅着工戸数は減少傾向にあり、公共工事請負金額も紀南を除いて減少。資材・機材価格の高騰を含め、懸念材料が目立つ。

製造業は、コロナ禍での落ち込みから着実に持ち直している。食品製造業などで需要回復が見られることに加え、全国的な設備投資の増加を背景に、機械・機械部品製造業で景況感を良いとする事業者が増加した。

商業は5期ぶりの下降となり、建築材料卸売業、衣料品小売業での景況悪化が要因だった。その他の業種は引き続き、コロナ禍からの持ち直しの動きを維持している。

サービス業は3年半ぶりにマイナス水準を脱した。経済活動・人流が持ち直し、旅館・ホテル業、教養・娯楽サービス業などで景況BSIが上昇。運輸業、飲食業は、燃料や食材の価格高騰を背景にコストが増え、業況に弱さが見られる。

地域別の景況BSIは、和歌山市マイナス4・7(前期比0・4㌽上昇)、紀北マイナス10・6(同1・5㌽上昇)、紀中マイナス1・0(同8・0㌽上昇)、紀南マイナス8・2(同2・3㌽下降)で、紀南以外は上昇。和歌山市は3期連続の上昇となり、コロナ禍以降の最高値を更新した。

経営上の問題点は、1位「売上不振」の28・2%、2位「原材料価格の高騰」の24・5%、3位「人材不足」20・7%。4位「人員不足・人員過剰」7・4%の順だった。

 


 

売上高増の企業4割 プラ問題の関心7割超

今回は、直近決算期(22年度)の業績、プラスチックの再資源化やプラスチックごみの削減の2点についてのアンケート調査も実施した。

前年比で売上高が増加した事業者は41・8%、減少は37・5%で、4年ぶりに増加が上回った。営業利益は増加の事業者が35・4%に対し、減少が43・1%で多かった。

プラスチック問題に関心がある事業者は72・5%に達した一方、解決に向けた廃プラの分別回収などの取り組みを行っている事業者は41・5%にとどまった。

脱プラスチックの動きが自社に与える影響については、「どちらでもない」と答えた事業者が60・3%を占め、「好影響」は6・3%、「悪影響」は4・2%だった。

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