悪玉コレステロール低減を実証 柿タンニン

和歌山県特産の柿に含まれるタンニンに、LDL(悪玉)コレステロール値を低減させる作用があることを、県農業協同組合連合会(JA県農)と大阪公立大学、近畿大学が臨床試験で実証し、6日に和歌山市内で記者会見を開いて発表した。この結果に基づき、JA県農は「和歌山のたねなし柿」を機能性表示食品として消費者庁に届け出、8月に受理されており、国内外での消費拡大が期待されている。

県の柿の収穫量は22年産で4万2000㌧、44年連続日本一を誇り、大半を中谷早生、刀根早生、平核無などの「たねなし柿」が占める。

JA県農は、2015年から柿消費拡大対策事業協議会を中心に、柿の健康機能性成分について科学的なデータ収集に取り組み、17年からはビタミンCの栄養機能食品表示、葉酸の強調表示を開始。さらなる付加価値化に向けて、渋み成分である柿タンニンについても、機能性の研究を進めてきた。

LDLコレステロールは、体内にたまると動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞、脳梗塞などの発症につながる。

今回の臨床試験はLDLコレステロールが高めの人を対象とし、柿1個に含まれる量と同等の一日当たり2・1㌘の柿タンニンを4週間続けて摂取した結果、LDLコレステロール値を有意に低減させられることが確認された。

柿特有の成分が機能性表示食品の関与成分として認められたのは初めてで、新たな成分の機能性をJAの系統組織が主導した臨床試験により実証した事例も初めてという。

記者会見では、柿消費拡大対策事業協議会の澤井壮平会長、中山裕之副会長、大阪公立大学の鈴木利雄客員教授、近畿大学の尾﨑嘉彦教授、米谷俊元教授らが成果を発表。

澤井会長は「新たな機能性が判明し、柿の価値が高まった。積極的にPRし、農家の生産基盤を守っていきたい」、中山副会長は「機能性が購入のきっかけになれば、消費の裾野が広がる。海外展開も視野に取り組みたい」と話した。

臨床試験の結果を発表する鈴木客員教授㊧ら

臨床試験の結果を発表する鈴木客員教授㊧ら

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