硬式野球ボールを修繕 就労支援事業所

合同会社総合福祉高積が運営する就労継続支援B型事業所「カルラ」(和歌山県岩出市清水)と同A型事業所「フレーズ貴志川」(紀の川市貴志川町長山)は、糸がほつれたり切れたりした硬式野球ボールを、障害のある利用者たちが修繕する「エコボール」に取り組んでいる。利用者にとって、社会とつながる大切な活動となっている。

同社代表の山口恭範さん(44)が野球に携わる中でエコボールを知り、昨年7月ごろから活動を始めた。エコボールに取り組む京都府の事業所で職員が直接技術を学び、施設の利用者に伝授。主に、ボールの縫い糸をほどいて新しい糸で縫い直し、修繕したボールを磨くなどの作業を行っている。

カルラには17人の利用者が所属し、多いときには200球程度の修繕の依頼がある。利用者は、1球の修繕に10分から15分程度かけ、集中して一生懸命に作業している。

修繕を終えたボールは、利用者が直接、各チームに納品する。選手の喜ぶ顔をじかに見られることが、利用者の自信につながっているという。

これまでに、市立和歌山高校や慶風高校の硬式野球部、中学生の硬式野球チーム・打田ヤングタイガースなどの練習球を修繕してきた。

カルラ管理者の南垣内奈美さん(53)は「利用者には、実際にボールを使ってもらえるうれしさがある」と話し、山口代表は「利用者にとって、社会とつながりを持つきっかけになってほしい。球児には、道具を大切にする気持ちを身に付けてほしい」と話している。

両事業所では今後、かばんを製造する過程で余った革を使って、ボールを作る新たな活動なども予定している。

 

職員㊧と協力してボールの糸を縫い直す利用者

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