WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

巨峰を親にもつ「ピオーネ」

前号では、肉厚でコクがあり、根強い人気を誇る「巨峰」を取り上げた。今週は、巨峰を親として開発された「ピオーネ」を紹介したい。
ピオーネは1957年に、母を「巨峰」、父を「カノンホールマスカット」として生まれ、巨峰の甘さとマスカットの爽やかさを兼ね合わせた品種。糖度が高く、香りが優れ、適度な酸味があり、大きいものは1粒20㌘程度。果肉はしまっており、巨峰よりも粒が落ちづらく、日持ちが良いという特長を持つ。
名前はイタリア語で開拓者を意味する「pione(ピオーネ)」に由来する。元々は英語で開拓者を意味する「Pioneer(パイオニア)」と命名されていたが、後に改名されたという。
ピオーネには「ニューピオーネ」と名付けられたものがあるが、種があるか無いかの違い。ジベレリンという植物ホルモンを用いて、種を作らず果実を肥大化させる技術が用いられている。
農水省統計(2020年産)によると、全国の栽培面積は1910㌶。国内の生食用ぶどうの約15%を占め「巨峰」「シャインマスカット」に次ぐ3番目。主な生産地は、第1位が岡山県(799㌶)、第2位が山梨県(350㌶)、第3位が香川県(106㌶)となっており、和歌山県は第11位(25㌶)。県内では、かつらぎ町を中心とした北部の地域で栽培されている。
栽培面積第1位を誇り、全体の約42%を占める岡山県では、産地が独自の出荷基準を設けた「プレミアムピオーネ」と称されたものがある。大きさや糖度、見た目を評価したもので、主に贈答品として使われている。
出荷時期はハウス栽培のものは5月下旬から11月中旬にかけて。露地物も10月下旬ごろまで出回る。
冷凍庫に入れ、シャーベットのようにして食べてもおいしいピオーネ。お好みの味わい方で楽しんでみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)