ROCKな貼り絵 西英喜さん初の個展

「第二の人生はロックだぜ!」――。ことし6月に退職し、貼り絵を始めた和歌山市の西英喜さん(67)は、1960年代のロックのレコードジャケットをモチーフに、新聞の折り込み広告や折り紙を使い、にぎやかでカラフルな作品を生み出している。その完成度の高さが話題となり、同市新和歌浦のアート施設「和歌浦芸術区」4階ラウンジで初の作品展「西英喜の貼り絵ROCK」を開いている。西さんは「67歳のロック魂を感じてほしい」と熱く呼びかけている。

西さんはこれまでアートとは無縁の生活を送ってきた。向陽高校を卒業後、県警の事務職員として勤務。定年退職後は県交通安全協会の嘱託職員として働き、ことし退職した。

「お金がかからない暇つぶし」を見つけようと探していたところ、貼り絵を知り「絵は描けないけどこれならできるかも」と始めた。学生時代から続く唯一の趣味はロック。カーズ、U2、ディープパープル、レッド・ツェッペリン、キング・クリムゾンなど大好きなアーティストのアルバムを自分なりにデザイン。おおまかな下書きをもとに、折り紙や折り込み広告の文字や模様を生かし、細かく切って貼っていく。

色やバランスは気の向くまま。どの作品にも顔に西さんと同じ鼻の横にあるほくろを付けるのがポイントだという。

やればやるほど面白くなり、毎日5時間以上作品づくりに没頭。「飽きっぽい性格だから、これだけ自分に根気があったことにビックリした。熱中し過ぎて痩せた」と西さんは笑う。

絵を描くことが趣味という妻の久美さん(62)と長女(36)から「お父さんの作品は面白い」と褒められ、よりやる気が増し、作品は4カ月で90枚完成した。

ギャラリーやシアター・ホールを備え、美術、音楽、演劇、ダンスなど幅広いジャンルで、地元アーティストに発表の場を提供している和歌浦芸術区の総支配人、廣瀬茂之さん(65)は「色使いのセンスが抜群。持って生まれた才能は若いと開花しやすいが、西さんは才能を冷凍保存していたかのように退職と同時に溶け出し花開いた。この先が楽しみで面白い」と話している。

西さんは「ロックへの愛を込めた作品をぜひ見にきてください」とPR。

展覧会は12月28日まで。入場無料。午前10時から午後6時まで。火曜定休。問い合わせは同施設(℡073・447・9170)。

67歳で貼り絵を始めた西さん

67歳で貼り絵を始めた西さん

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