和歌浦漁港で話題 横田愛奈さんの壁画

和歌山市の和歌浦漁港の壁に描かれているシャチやマンタの絵。カラフルで緻密かつダイナミックな独特の画風が観光客の話題となっている。描いたのは和歌浦で生まれ育ち、海が大好きな横田愛奈さん(17)。夢は「個展を開くこと」で、最近は美術館を巡り、表現の仕方を学んでいるという。

横田さんが絵を描き始めたのは中学1年生の時。休み時間にノートに描いていると友達から「欲しい」と言われ、褒められたことがきっかけ。生徒手帳に入れ、大切に持っていてくれたことで自信がつき、絵に没頭するようになった。

0・05㍉から0・2㍉の細いペンを使い分け、米粒サイズの模様を一つひとつ描いていく。名刺サイズを描くのに約1時間半から3時間かける。「描き始めると集中して何もかも忘れ、無心になる」と横田さんは笑う。

壁に絵を描くことを勧めたのは、和歌浦で漁師、しらす販売・地曳網・観光遊覧船などを行っている横田さんの両親。娘の絵にきらりと光るものを感じたという。

2022年2月、しらす直売所の2・4㍍×2・36㍍の真っ白な壁を提供。横田さんは海で悠々と泳ぐシャチを描き、インパクトのある絵は観光客の写真スポットになった。

「見た人が元気で楽しい気持ちになってくれたら」と、ひらめきで一気に描き上げたという。この絵がきっかけとなり「うちにも描いて」と依頼を受け、市内の店舗の壁や看板など約10カ所に描いた。遊覧船のチケット売り場の受付には、泳ぐ親子のエイが描かれている。

横田さんは描くうちに「サーフボードに描いてみたい」「靴に描いたらかっこいいかも」とインスピレーションはどんどん広がっていくという。

父の邦雄さん(43)は「やりたいことは全部やらせてあげたい。知り合いに連絡して要らなくなったサーフボードを譲ってもらったり、靴を買いに行ったり、協力している」とにっこり。

作品は和歌浦漁港内の「わか家」に展示している。

横田さんは朝から晩まで一日中、絵を描いている日もあるという。完成した作品は愛奈さんの名前から「ainart(アイナート)」と名付けた作品集をインスタグラムでも発信。「パリで絵の勉強をしてみたい」と言い、和歌浦から世界を目指す17歳のアーティストに期待が集まっている。

 

しらす直売所に描いたシャチと横田さん

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