ヒ素など検出で工事休止 国道168号トンネル

和歌山県は1日、新宮市で工事を進めてきた国道168号仮称2号トンネルで、掘削した土砂から土壌汚染対策法に定める基準値を上回るフッ素やヒ素が検出され、処分に莫大な費用が見込まれるため、事業を休止し、現在の工事契約を打ち切る方向で受注事業者と協議を開始したと発表した。処分コストの縮減策を検討し、見通しが立てば工事を再発注する方針。

同トンネルは、国道168号のバイパスとして同市相賀―高田間に延長2658㍍、幅員8・5㍍で建設を予定し、工事契約額は約70億6000万円。工期は2026年2月までを予定していた。

22年9月に掘削を始め、これまでに約1割を終えたが、土砂の検査230回のうち219回で基準値超のフッ素やヒ素が検出され、ほぼ全区間に及んでいることが分かった。

掘削した土砂は通常、他の工事などに利用するが、基準値超えの土砂は御坊市の管理型処分場に運んで処理しなければならず、運搬と処理に追加費用が発生する。今後も処理が必要な地質が続くと予想され、掘削を継続した場合、工事費は約200億円の増加が見込まれる事態となった。

フッ素とヒ素は、掘削工事前にトンネルの起点、終点の両側計100㍍で行った水平ボーリング調査の一部でも検出されていた。基準値超えの土砂がどの程度出るのか、状況を見ながら判断する方針で掘削を始めたが、「こんなに出るとは思っていなかった」(県道路建設課)状況に直面し、県は現状の工事を打ち切る方針を決めた。

県は今後、これまでの工事費用などを算出し、受注事業者と契約の打ち切りについて協議を進める。基準値超えの土砂の処理は、シートで覆い、盛り土の中に封じ込めるなどの方法もあり、県は工事再開の見通しを立てるべく、処理コストの縮減に向けた検討も進めていく。

 

国道168号仮称2号トンネルの高田側入り口(和歌山県提供)

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