調剤薬局あるある 吉井和洋さんが出版
調剤薬局の利用者に正しい知識を身に付けてもらおうと、和歌山市西庄の薬剤師、吉井和洋さん(59)が書籍『調剤薬局あるある』を文芸社から出版した。吉井さんが調剤薬局でこれまで経験したことで「えっ!」と感じたことを中心に、日々の患者とのやりとりなど、知られざる仕事の裏話をつづっている。
吉井さんは大学卒業後、外資系の製薬会社で50歳まで医療情報担当者(MR)として静岡、大阪などで従事し、その後、神戸の調剤薬局で薬剤師として8年間勤めた。薬剤師時代に、患者とのやりとりを通じて、薬や調剤薬局に関してあまり知られていないことに気付いたという。「処方箋を確認せずに出された薬を飲んで、何の薬を飲んでいるのか分かっていない人が意外と多い」と吉井さん。医者による処方ミスもあり、知識の乏しさや処方箋の確認不足は重複服薬による副作用を招く一因で、最悪の場合、死に至ることも起こりえると指摘する。
著書では、薬についての話題をはじめ、会計の加算方法、ジェネリック医薬品にまつわるお金の話、調剤薬局に来る患者とのさまざまな出来事などを紹介している。
吉井さんは「学生時代、薬剤師の勉強を通して得た知識だけで調剤薬局で勤められると思っていたが、現実は違った。多様な性格の患者さんや医者といかにうまくコミュニケーションを取れるかということも重要」と話す。「大変な仕事だが、自分が窓口で出した薬で調子が良くなったと患者の声を直接聞くことができ、やりがいを感じられる仕事」と話し、薬剤師を目指す学生や若い薬剤師にも読んでもらいたいと願っている。
84㌻、1210円。現在は薬剤師として地元に活動の場を移しており、書籍はインターネットで単行本と電子版が購入可能。
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