WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

サイズ、価格も一流の「獅子柚子」

新しい年を迎えたが、元日から心が痛む災害のニュースが報道されている。自然の猛威を回避することは難しいが、可能な限り穏やかな年になってほしい。
今週は、邪気を払い、福をもたらす縁起物として知られる「獅子柚子(ししゆず)」を紹介したい。
獅子柚子は「文旦(ぶんだん)」という柑橘の一種。原産は中国で、奈良時代に日本に伝わったとされる。
特徴は何と言ってもその大きさ。直径20㌢程度あり、果重は1㌔を超える。一般的な柚子の約10倍、グレープフルーツの約3倍のサイズである。皮が非常に分厚く、表面が凸凹している。獅子や鬼の顔に似ていることからこの名が付けられたという。他にも「鬼柚子」と呼ばれることがある。
柚子の名が付いているが、文旦の一種であるため、柚子のような強い香りはなく、ほのかにかんきつ系の香りがする程度。食用には向かず、主に観賞用とされるが、マーマレードやピールにして食べることができる。白い綿状の部分には、ヘスペリジンというポリフェノールの一種が含まれ、血流の改善や、新陳代謝を促進する効果があるとされる。
収穫期は11月下旬から1月にかけて。インパクトの大きい柚子として、冬至に合わせ風呂に入れられることもあるが、正月飾りとして玄関に飾り、魔よけや縁起物として使用されるのが一般的。実が大きいということから「実入りが良くなる」と願掛けし、長期間しなびることがないため、飲食店の店先などで年間を通じて飾られることもある。
栽培地域は関東より西の地域。筆者は県内の産直市場で購入した。大きくて形の良いものは1個3000円程度で販売される高級品である。
胸が痛む出来事で始まった2024年。邪気を払い、福をもたらせてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)