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和歌山さんぽみちプロジェクト

甘味が強く食べやすい「津之輝」

前号では、その大きさが故に、むき方に工夫が必要で、食べ方に多様なレパートリーを持つ「文旦」を取り上げた。果物売り場では、続々と春かんきつの販売が始まっている。今週は今が旬の「津之輝(つのかがやき)」を紹介したい。
津之輝は、2009年に品種登録されたかんきつ。国立農研機構が「清見」と「興津早生」を掛け合わせた品種に、「アンコール」を交配し育成したもの。オレンジ風味のタンゴール品種である清見、食味が優れた温州みかんである興津早生、強い甘味と香りの良さを兼ねそろえたアンコール。それぞれの特性を受け継いだ品種である。
果実のサイズは200㌘前後。果皮は濃いオレンジ色で、手で容易にむくことができる。じょうのうが薄く柔らかいため、温州みかんのように袋ごと食べることができる。
食してみると、そのジューシーさが際立つ。果汁を豊富に含んだ果肉はプルプルとしている。糖度は13度程度と甘味が強く、酸味がほどよくあり、味に深みがある。ほとんど種が無いため、食べやすい。
名前の由来は育成された長崎県の口之津という地域の名前と、光沢があり美しい見た目に由来するという。
農水省統計によると、収穫量第1位は長崎県(114㌧)、第2位は佐賀県(97㌧)、第3位は宮崎県(92㌧)、第4位は鹿児島県(59㌧)、第5位は和歌山県(17㌧)となっており、県内でも栽培されている。
施設栽培のものは12月から収穫が始まり、露地栽培のものは1月中旬から2月上旬に収穫され、3月にかけて出回る。
プリっとした食感に、濃厚なオレンジの風味を感じる津之輝。旬を迎えた今、ぜひ食べてみてほしい。
(次田尚弘/和歌山市)