高周波プレス機導入で生産性向上 平石家具

和歌山市小倉の㈱平石家具(平石浩司社長)は、製作時間の大幅な短縮と品質向上を可能にする高周波プレス機を昨年9月に導入し、生産性向上により、新たな顧客の獲得、売上増を目指している。平石社長は「機械化できるところはしながら、職人の技術と製品の品質を守っていきたい」と意気込んでいる。

同社は1968年に創業し、約15人の社員で、住宅や商業関連のオーダー家具のデザイン・設計・製作・施工などを手掛けている。コロナ禍で受注が落ち込み、人手不足の問題もあり、業務効率のアップが急務となる中、高額の新規設備の導入を決断した。

同社の従来のプレス機では、木材を圧着する際、接着剤が乾くまでに夏は2時間、冬は4時間程度を要し、その間の置き場の問題、木材の反りなど品質面の課題もあった。圧をかける力加減など、職人の技量による部分も大きかった。

導入した高周波プレス機を使うと、機械に入れた木材に自動で圧がかかり、数分で乾く。接着力も上がるため、耐久性が強く、品質向上にもつながる。操作は簡単なタッチパネル式で、経験の浅い新人でも使いこなすのにそれほど時間はかからなかったという。

平石社長は2016年には高周波プレス機に注目していたが、高価なため手が出せずにいた。そうした状況で迎えたコロナ禍の2022年、事業再構築補助金を活用して高周波プレス機を導入し、高めた生産性と品質を武器に、高級ブランド店などの内装家具分野に参入することを決定。約1300万円の機械を300万円ほどの負担で購入することができた。

勤続19年のベテラン、小林等工場長(51)は「すぐに次の工程にかかれるので、時間のロスがなくなり効率がずいぶん上がった」と導入の効果を実感。昨年入社した山内華さん(18)は「作業の時短になった。機械は自分でも使いこなすことができている」と話し、新しい社員にも好評だ。

平石社長は「何でも機械化すればいいわけではなく、職人の技術や手作業は大事。しかし、時代遅れでは人は採用できないし、育たない」と語る。

今後は社員を増やし、顧客の要望にさらに応え、3年後に売上高20%アップの目標を掲げて取り組んでいく。

 

高周波プレス機の前で笑顔の平石社長

 

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