県24年度当初予算案 過去最大6280億円

和歌山県は14日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計は総額6280億340万円(前年度比2・3%増)で過去最大規模。学校給食費の無償化や林道整備などの第一次産業対策、成長産業の創出などの施策に重点的に取り組み、人々が希望を持って生き生きと暮らせるウェルビーイングな県の実現を目指すとしている。22日開会の2月定例県議会に提案する。

岸本周平知事にとって2回目の当初予算編成だが、23年度は就任前から県庁内で検討されてきた事業に大きな変更は加えなかったため、実質的には、今回が全面的に自身のカラーを反映させた最初の予算案となる。

各部局で事業の優先順位を見直し、より効果や必要性の高い事業に組み替える「部局マネジメント枠」を設定し、15%マイナスのシーリングをかけた上で、5%相当分を重点施策推進枠とした。

重点施策は、①共働き・共育て・こどもまんなか社会の推進②成長産業の創出③農林水産業、観光産業をはじめとする地域産業の強化④人口減少下におけるまちづくり⑤安全・安心で心豊かに暮らせる社会づくり――の5項目。

岸本知事は、公債費や人件費、社会保障関係経費が今後、大幅に増加することが見込まれ、財政状況は厳しいとの認識を示したが、「賢いやりくりの中で攻めの投資もしていきたいという予算になっている」と話した。

予算規模については、コスモパーク加太(和歌山市)に関する県土地開発公社の借入金を代位弁済する費用として231億円を計上している特殊要因があり、これを除くと6049億円で、過去3番目の規模となる。

 

 

■歳入

県税収入などの自主財源は2851億円で全体の45・4%を占め、依存財源は3429億円。

自主財源のうち県税収入は前年度比4・1%減の942億円。個人県民税は18億円(5・6%)減の302億円だが、国の税制改正による定額減税が行われるためで、減収分の22億円は地方特例交付金で補填(ほてん)される見込み。地方消費税は7・0%減の205億円、自動車税は1・1%増の119億円などとなっている。

依存財源は、県税収入の減少などに伴い、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な地方交付税が0・9%増の1852億円。国庫支出金は、新型コロナ対策の緊急包括支援交付金の大幅減少などにより、19・7%減の793億円。

県債発行額は4・4%増の566億円で、県債依存度は0・2㌽増の9・0%。24年度末の県債残高は、1・3%減の1兆777億円となる見込み。地方交付税で措置される臨財債を除くと、県民1人当たり85・2万円の借金となる。

収支不足の49億円は県債管理基金の取り崩しで対応。同基金と財政調整基金の24年度末残高は合計187億円を見込んでいる。

■歳出

義務的経費は5・6%増の2358億円で、歳出全体の37・5%を占める。うち人件費は、人事委員会勧告に伴う給与改定や定年引き上げによる退職者の増加などにより4・8%増の1383億円。県債の返済に充てる公債費は、7・0%増の767億円となっている。

政策的経費のうち建設事業費などの投資的経費は5・6%増の1093億円。内訳をみると、普通建設補助事業は、南紀・はまゆう支援学校の再編整備費の減少などで6・0%減の551億円。普通建設単独事業は、環境衛生研究センターの再整備などにより6・6%増の252億円。直轄負担金は、すさみ串本道路の整備費などで1・6%増の149億円。災害復旧費が112%増え、142億円を計上している。

補助費等は、新型コロナ対策費が168億円減の一方、コスモパーク加太対策の231億円増などの影響で、2・2%増の1643億円。その他の歳出は、5・9%減の1186億円となっている。

■収支見通し

県は23年度の当初予算案発表時、「財政危機警報」を発令し、財政運営の見直しを進めてきた。

24年度末の県債管理基金、財政調整基金の残高見込みは警報発令時の想定を上回ったが、物価や金利、賃金の見通しの上振れなどにより、26年度以降の収支見通しは悪化。

両基金の年度末残高見込みは、26年度が警報発令時の103億円に対して102億円、27年度が45億円に対して2億円、28年度は8億円の不足に対して99億円の不足で、今後の一層の対策が必要となっている。

 

新年度予算案を説明する岸本知事

 

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