ニホンアカガエル 紀美野町文化財に指定へ

和歌山県紀美野町動木で昨年4月に生息が確認された県の絶滅危惧Ⅰ類で日本固有種のニホンアカガエルが、同町の文化財に指定される見通しとなった。申請を申し出た同町の柳瀬喜生さんをはじめ、住民らは「おそらくニホンアカガエルの生息が確認された本州最南端が紀美野町だと思う。この地域の優れた自然環境を守りたい。指定されることは喜ばしい」と話している。今月にも町教育委員会から正式に発表される。

ニホンアカガエルは、県のレッドリスト(両生類)では絶滅指定のオオサンショウウオに次ぐ、絶滅危惧Ⅰ類に指定されている希少な生き物。

同町役場の正面に位置する農業用ため池「樫河(かしこ)池」の下に広がる約1500坪の湿田の水路で見つかった。

体長3~7㌢ほどで、体色は赤褐色から茶色、背中に線模様があるのが特徴。ニホンアカガエルが産卵し繁殖するためには、よどんだ水路が必要だというが、発見された生息地の大半は現在、太陽光パネル建設の準備が進められおり、キャタピラーで整地され、くいが打ち込まれている。

柳瀬さんらは「希少なニホンアカガエルの生息できる環境を守りたい」と、同町の文化財に指定するよう町教育委員会に申請するとともに、生息環境がなくならないよう、パネル設置の隣の場所に、ビオトープを手作りし、ニホンアカガエルが産卵できるよう湧き水を利用した水路を掘り、草木を整え保護のための活動をした。

ことし2月、町教育委員会の諮問に応じ、有識者らで構成される文化財保護審議会が現地調査を実施。生体は確認されなかったが、ビオトープ内の約20カ所で、直径10㌢前後500~3000個の卵がひと塊になった灰色の卵塊が確認された。

引き続き審議会を開き「学術上、価値の高いものか」を焦点に話し合いを進め、このほど指定の運びとなった。

柳瀬さんは「引き続きニホンアカガエルの生息地を守っていきたい」と話している。

確認されたニホンアカガエル(昨年4月、柳瀬さん提供)

確認されたニホンアカガエル(昨年4月、柳瀬さん提供)

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