WAKAYAMA NEWS HARBOR
和歌山さんぽみちプロジェクト

柑橘産業の振興に期待「あすみ」

前号では、食味が優れ高級品種として知られる、愛媛県のオリジナル品種「まどんな」を取り上げた。深い甘さが特徴のまどんなに続き、今週は抜群の糖度を誇る「あすみ」を紹介したい。
あすみは、「上田温州」と「八朔」の交配種である「スイートスプリング」に「トロビタオレンジ」を交配した「カンキツ興津46号」と、「清見」と「ポンカン」の交配種である「はるみ」を掛け合わせたもの。
1992年に育成が始まり、2014年に品種登録されている。名前は親の品種である、はるみの子どもであることと、明日の柑橘(かんきつ)産業を担ってほしいという思いに由来するという。
果実の重さは150~200㌘で、一般的な温州ミカンと比べやや大きめ。扁球形で頭頂部がやや膨らんでおり、色は濃い橙色をしている。
特徴は何といってもその甘さ。栽培環境によるところもあるが、糖度が17度に達するものがあるほど。親の品種から受け継いだ、オレンジのような爽やかな香りがあり食味が良い。果皮は薄いためむきやすい。じょうのうも薄いことから容易に食べられる。種は少しある程度であまり気にならない。ミカンに含まれ健康に良いとされるβ‐クリプトキサンチンが一般的な温州ミカンよりも多く含まれる。
この品種は、かいよう病への耐性が低いため露地栽培よりもハウス栽培に向いており、筆者が購入したものもハウス栽培であった。主な収穫期は1月下旬から3月上旬ごろ。比較的新しい品種で、まだ栽培が盛んになっていないため、農水省が公表する統計上、その生産量の記載はないが、全国で栽培可能。筆者は2月中旬に県内の産直市場で購入した。
高糖度で魅力的なあすみ。その名のとおり、明日の柑橘産業を担う品種として期待したい。
(次田尚弘/和歌山市)